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全部盛りの最強ロボットで1/35スケールプラモの世界に突撃!!「ウェーブ 装甲騎兵ボトムズ スコープドッグ ターボカスタム」

▲1/35のATのプラモはこういうことができて楽しいのだ

 高橋良輔監督という人は、「なぜこのロボットにはこの機能がついているのか」「なぜロボットAはロボットBよりも強いのか」を非常に飲み込みやすくプレゼンしてくれる人だと思っています。メカに搭載された機構は作品の中でしっかり役割をこなすし、なぜこの戦闘でこのメカが勝ったのかを過不足なくちゃんと説明してくれる。

 例えば『装甲騎兵ボトムズ』においては、スコープドッグには「歩くより高速で移動できなくてはわざわざメカに乗っている意味がないから、足の裏にはタイヤがついていますよ」「移動が速ければ勝率は上がりますが、操作は大変になりますよ」というルールが、作中でそれとなく提示されています。つまり「速い=強い」「速い=エリート」というのが、ボトムズ世界を貫くルール。こうしたルールが徹底厳守され、そして時たまキリコによってそのルールが覆される点は、この作品の大きな魅力だと思います。

 というわけで、足にすごそうなブースターがついているスコープドッグ ターボカスタムは、これはもうムチャクチャ強く、またエリートパイロット向けの機体ということになります。そんな設定を盛られたメカであることを念頭に置くと、ほとんどいつものスコープドッグと同じ見た目なのに俄然光り輝いて見えるわけですね。不思議~。

▲ボックスアートは大河原さんの描き下ろしだ!

 ウェーブの「スコープドッグ ターボカスタム [PS版]」は、そんなメカのプラモデルです。題材になっているのはOVA『ザ・ラストレッドショルダー』版のターボカスタム。キリコ機に加え、グレゴルー、バイマン、ムーザの各機体が搭載した兵装を全部詰め込んだ、ガタガタ言わずにこれ買っときゃ間違いないという内容です。そしてスケールが1/35。「そこらじゅうで売ってる兵隊のプラモデルと並べて遊べるぞ!」という嬉しさがあります。

▲PS版なのでコクピットの中がパーツになってます
▲当然パイロットもついている。オレンジ色が眩しい
▲いつ見ても狭いコクピットだ

 PS版はコクピットの中が立体化されており、さらに降着機構も搭載しているのが特徴。スコープドッグのすごさのひとつは、降着ポーズによって「このロボットどうやって乗るの?」という疑問を解決したことにあります。さらに「ガクンと前に脚が出る機構は、高いところから飛び降りた時のショックアブソーバーにもなる!」という謎に強い説得力のあるシーンで「な、なるほど!」と視聴者を唸らせたことも。降着ポーズだと人とコクピットが近くなるから、情景を作ったり人形並べて遊んだりしても楽しいですね。

▲スネ! むちゃくちゃ頑張っている
▲中央プロックの切り欠きで、ヒザアーマーが上下にスライドします
▲全高約12cmのモデルでも、このように降着ポーズ&ブースターノズルの展開が可能です

 キット自体はスコープドッグのプラモデルとしてオーソドックスな構成。馴染み深い大河原さんのデザインやディテールの入るタイミングに合わせた、安心感のあるパーツ分割となっています。そしてこのキットの特徴が、ふくらはぎの中へのブースターノズルと補助ローラーの収納と、降着機構のギミックを両立させた点。なんせ1/35のスコープドッグはなかなか小さいため、スネの中はかなりギリギリのクリアランスでパーツが詰め込まれており、設計者の頑張りが伝わってくるような仕上がりとなっております。

▲今風なスコープドッグの最適解っぽいフォルムです
▲後ろから見ても安定感がすごい

 組み上がってみれば、そこに現れるのは見事な立ち姿のスコープドッグ。体格やディテールにも際立ったアレンジなどはなく、とてもスコープドッグらしいスコープドッグに仕上がっています。

▲何度見ても狭い。余裕一切なし!

 ボトムズ名物、ギチギチにパイロットが詰まっている狭いコクピットも搭載。やっぱり胴体がパカッと開くと「スコープドッグだな~」という楽しさがありますね。パイロットがオレンジで成形されているので、色を塗らなくてもけっこう視覚的な嬉しさがあるのも好印象。しかしまあ、これは一回乗っちゃうと顔も掻けない狭さですね。スコープドッグ、絶対乗りたくない。

▲これ全部搭載し放題と思うと、オリジナルの機体を作りたくなりませんか?

 ということで、ウェーブのターボカスタムは面白いぞ、というお話でした。ザ・ラストレッドショルダーの4機を再現しようと思うとこのキットが4つ必要になりますが、楽しみ方の幅が広いのもボトムズプラモのよさ。「豊富なオプションパーツがたくさん入ってるから、組み合わせて自分だけのスコープドッグにしよう」ということなら、ひとつだけ買っても全然楽しめます。

 さらに1/35なんで、AFVモデル用のオプションパーツも使い放題。どんな仕上げにするか、考えるだけでご飯がおかわりできますね。現在はちょっと入手が難しいキットになっちゃってますが、ウェーブのボトムズプラモはちょいちょい再生産がかかるので、見かけたら即ゲットをオススメします!

しげるのプロフィール

しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。

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