
まず結論です。プラモ作りにデザインナイフを使っている人はこの替刃、BD-2000がオススメです。すごい。通常の替刃よりも切れ味はすこぶる良く、さらに超大量に入っている。言うなればコスパ抜群のソリューションです。デザインナイフの替刃なのにブレードがつながっているのはいったいなんなんだ……?実際に中身を見ていきましょう。
その前に、プラモ製作ハウトゥを見ているとよく出てくる「デザインナイフ」というフレーズですが、一枚の刃を差し替えるタイプのカッター全般を指していることが多い。刃の種類によってざっくり「アートナイフ」(OLFAの製品名で、タミヤの「モデラーズナイフ」も互換性がありますね)と「デザインナイフ」(NTカッターの製品名で、タミヤブランドでも「デザインナイフ」という名前で販売されとる)があります。

私は刃がデカくて比較的交換しやすいタミヤのアートナイフ信者でした。ケースが使用済み刃の廃棄方法までよく考えられていて、力を入れやすいのでわりと豪快な作業にも対応してくれるというのがその理由だったんですが、最近プラモデルパイセンの使っているデザインナイフを借りて作業をしたところ「あれ、刃が小さくて柄が硬いとチマチマした作業がすごく気持ちいいぞ!?」ということに気づいたのです。

ということでまずデザインナイフのD-500GPですよ。メタル軸でグリップがゴム。デザインナイフ買うならコレです。軸の剛性がめちゃくちゃ高くて、力を入れても刃が逃げる感じがしません。ゲートの処理やパーティングラインを削るのは「細かい作業」だと思うのですが、すなわち細かい力のコントロールをどれだけ正確にやるかなんですよね。そうすると軸が硬ければ硬いほど力がリニアに、ダイレクトに伝わる。これでいきなり模型がうまくなった感じがします。
さらに握り部分が金属の滑り止め(ローレット)加工されていると、長時間作業しているうちに指に金属の凹凸が食い込んで結構痛い。ゴムグリップだとそれがないんですよね。「ダイレクトな力の伝わり」と相反するように思えるかもしれませんが、ゴムグリップのせいでナヨっとした感触にはなりません。軸の剛性とゴムの適度な弾力の組み合わせが非常によく練り込まれていると感じます。「刃が交換できればどれでも同じ」と思っていたんですが、紙をスーッと切るのではなくプラスチックを削るという作業にはD-500GPが好適だと確信しました。

で、その替刃は何をストックしておけばいいんだ……といろいろ検索した結果たどり着いたのがBD-2000ですよ。通常のステンレス刃よりも硬い黒刃で刃先は鋭い30°が設定されています。ポリケースを開けるとビニールにくるまれたずっしり重い塊が出現し、さらに内容物が錆びないよう油紙でぐるぐる巻きにされています。見た目が怪しすぎる!

二重の包み紙を開けるとそこには真っ黒の塊が!厚さ0.38mmの刃がびっしり100枚密集しているのはかなり迫力があります。なんかもう漆黒。パッと見なにが起きているのかわからない質感になっていてビビります。手を切らないようにここから1枚を取り出し……。

付属の刃折具(BDS-100P)に先端を差し込んでバキンと割ります。これでようやくデザインナイフに装着できる状態になりました。確かに小さい刃を1枚ずつ作って梱包するのは大変なコストが掛かりそうだしなによりハンドリングが悪そうなので、連続刃になっているのもなるほどなと思えます。一本の連続刃から9枚取れて、これがなんと100本。じつに900枚の替刃が手に入るんですよ。割り算してみてください。切れ味抜群なのに1枚あたりの価格が……どう考えても安い!

実際にゲート処理をしてみると、サラーっと刃が入っていって、エクスタシーすら感じます。問題は「切れ味のなまった刃をどうするか」ということなんですが、とあるモデラーに教えてもらった「ガムテープを巻いて誤飲しないようにした飲料の空き缶にガンガン入れていって、最後に口をガムテープで封して燃えないゴミとして捨てる」という方法を実践しようと思います。ちょっとでも切れ味が悪くなったらじゃんじゃん交換して、廃棄用の空き缶がずっしりしてくると「オレ、プラモ楽しんでるな〜!」と思えるんだとか。アートナイフもいいけど、デザインナイフにこだわるのもイイっすね。そんじゃまた。