
プラモ作るときにこれがないと話にならない道具、アートナイフ。
「デザインナイフ」という名前のを使う人もいるかもしれんけど、とりあえず刃を差し替えて使うタイプの小回りがきくナイフはいろんな作業に使う。んで、今日は替刃の量が心もとなくなってきたので模型店で買ってきた。
愛用しているのはタミヤのモデラーズナイフ。OLFA社から発売されているものは黄色いケースに入っているのだが、タミヤブランドで売られているものは乳白色のケースに黒い蓋付き。こういうちょっとした道具の色の揃え方で気分よくなれるんだから、「使えればなんでもいいや」の先に楽しい景色が広がる。
なんでいきなりアートナイフの替刃の話をしようと思ったのかというと、これの消費量がそのままプラモの作業効率に直結するから。

アートナイフの刃を変えた瞬間というのは、毎回毎回声が出るほど新鮮な瞬間だ。10秒前まで「まだ切れるな」と思っていた自分の頭をひっぱたきたくなる。刃はプラの表面をひと削りするたびにダメージを受け、その切れ味は刻一刻と悪くなっていく。新品の刃はどうだ。まるで熱したナイフでバターを削るように、するりとプラスチックを切ることができる。作業に没頭していると忘れがちだからこそ、刃を替えるのは大事なことなのだ。

少し硬いプラスチックやエッチングパーツを切ったときなどは、その劣化が信じられないほど急速になる。刃こぼれしたり、先端が微細に欠けて刃としての機能を失っていく。


刃を替える、というのは模型をサクサク作ることと同義。しかし、昔の職場の先輩が「これはナマクラになっているのがいいんだ」と言っている刃があって、今日はその話もしておきたい。最初の写真に紛れ込んでいた、X-ACTO(エグザクト)の丸刃だ。
これはプロモデラーが雑誌でオススメしてたのに憧れて自分も導入したもの。金属の軸の剛性、防汚性も素晴らしく、デザインとしても優れていると感じる。そして、これに付けているのがX210「多目的ナイフ」というもの。

錆びて刃こぼれしているが、この「切れなくなった丸刃」にフィットする作業がある。曲面のパーティングライン(金型と金型の合わさった痕跡。通常は薄い凸線か、微細な段差として現れる)を削り、面をキレイにする作業だ。
直線的な刃で丸い面の上を撫でると、削りたい場所が狙いづらく、うっかりすると削りすぎて平らになってしまうことがある。しかし、この丸刃はラウンドした形状のおかげで、自分がどこを削ろうとしているのかが視認できる。

プロのモデラーや原型師にはそれぞれ「好みのラウンド具合」があるのでチョイスはまちまちだが、私はこのX-ACTOのX210のカーブが気に入っている。ナマクラになっていても刃の剛性が高いので、プラスチックの表面を切るのではなく、削ぎ落とすように使えるのがいいのだ。
鋭い切れ味のアートナイフ、ナマクラになった丸刃。作業内容に合わせ、どちらも手放すことのできない大事なプラモ作りの相棒なのである。