国民的刃物といえばもちろんカッターナイフ、通称カッター。コンビニや100円ショップでも気軽に買えて、家事や図画工作&手工芸で活躍し、さまざまな工事現場などでも使われている、偉大なる発明にして生活必需品です。
▶偉大なる発明:折る刃式カッターナイフの誕生秘話
https://www.olfa.co.jp/birth_of_olfa_cutter/index.html
しかしプラモデル製作ではちょっと話が別でした。ハウトゥ本を開くと必ず「アートナイフ(クラフトナイフやデザインナイフとも呼ばれる)を使いましょう」って書かれてることが多いです。確かにアートナイフは良いんですよね。角度とか。
冗談言ってると思われそうなので比較してみましょう。
確かに角度が違う……。具体的には「刃先の鋭さ」と「刃の付き方」が違います。場合によっては刃のガタつき具合が気になるかも。でもワタシは、プラモデル製作でも「カッターナイフ」を主に使ってます。ただ、普通のとはちょっぴり違うんです。それがこちら。
これはNTカッターさんの「プロ繊細30°カッター AD-2P」(という名前に今はなっています)。ワタシがこれを文房具屋さんで見つけて替刃と一緒に数本まとめて買ったのが数十年前ですから、かなりのロングセラー商品なのだろうとお見受けします。
この30°カッター、例えば下記のように普通のカッターとアートナイフの良いとこ取りなところがあります。
・刃先が鋭いのでアートナイフのように繊細な工作ができる、もちろんプラモデルもOK
・刃の付き方がカッターと同じなので、カッター工作に慣れた人はアートナイフより手に馴染みやすいかも?
・刃先が鈍ったら普通のカッターのようにパキッと折ってすぐリフレッシュ可能!アートナイフの刃の交換よりお手軽&スピーディー
もちろんどんな工具にも得手不得手はありますので、3つの刃先をよく観察してみましょう。
30°カッターはアートナイフと比べると固定が甘いので(良いホルダーを使っても構造的に微妙なガタつきは避けられません)、より高精度な工作にはやはりアートナイフが向いていそうです。一方、例えば大まかに工作しながらちょっと細工もしたいなあというとき、30°カッターはそのユーティリティプレイヤーっぷりを発揮します。カッターのようにカンナがけしながらアートナイフのようにモールド細工を施したりできるので、工具を持ち替える回数が減るのです。もちろんいわゆる「一刀彫り」を推奨するものではありませんが、手持ちのありふれたカッターが30°の替刃に交換するだけでかなり万能な切る道具に化けるというのは、覚えておくといいかもしれません。
以下はこれらのカッター・アートナイフの使用感がどんなふうになるかの例です。
ランナーからパーツを切り離すときは模型用ニッパー使えって言ったでしょ先生は!……いやすみません、うまいテストピースが無かったもので……。それはさておき注目してほしいのは、
・刃先が鋭いので小さな隙間の奥まで届く
・(使用場面や持ち方にもよりますが)刃の当たる角度がアートナイフより立ち気味になりやすい
という点です。プラモデルというかプラスチック製品をカッターで切断するときは、押して切るのと、(刺身を包丁でさばくように)刃を引きながら切るのの両方の場面がありますので、この刃の特性を意識しながら使い分けるのが良さそうです。
さて、30°カッターにはもうひとつの長所があります。「細かいシールやデカールなどを載せて運ぶ」のに使えるんです、これ。
この使い方、特にシールで威力を発揮します。カッターの刃なのでカチカチカチと刃先を長く伸ばせば、プラモデル本体にホルダーが当たって傷つける事故をわりと避けられます(けど刃物なので十分に気をつけてね)。
この30°カッター、オルファさんやNTカッターさんなど各社から替刃が発売されていますので、お好みのホルダーにインストールすれば、「切る」楽しみがたちまち広がる逸品です。あ、買うときは刃の寸法(高さ)だけ確認してください。刃がホルダーに入らないと悲しいですから……。せっかくなのでハイグレードなホルダーごと買っちゃうのも手ですね!お試しあれ。