
フィンランドといえば、第二次大戦と同時期に勃発したソ連との2度にわたる戦争を戦った国として知られています。1939年11月に勃発した「冬戦争」では大国であるソ連とギリギリの戦いを繰り広げたフィンランドですが、1941年6月の独ソ開戦に伴って始まった「継続戦争」では敵の敵であるドイツと連携し、長く激しい戦いを展開しました。

前述のように継続戦争時のフィンランドはドイツ軍と連携し軍事援助を受けていたので、ドイツ製の兵器も数多く運用しています。その中でも有名なのが、Ⅲ号突撃砲。分類としては突撃砲ですが、戦車不足のフィンランドでは主力車両として使われたそう。とにかく手元の兵器を大事に大事に使うフィンランドらしく、Ⅲ突にも防御力や使い勝手を向上させるためのさまざまな工夫・改造が盛り込まれました。

タミヤの「1/35 III号突撃砲G型 “フィンランド軍”」は、そんなフィンランドのⅢ突の姿を再現したキットです。ベースとなるⅢ突G型は以前から発売されていたものですが、本作ではフィンランド仕様の特別パーツを追加。ドイツ軍のものとは一味違う、独自の姿で組み立てることができます。

ドイツから輸入されたⅢ突はまず車体左右に吊られた増加装甲であるシュルツェンを取り外し、車体後部のエンジンデッキに大きな雑具箱を追加。車体上部の機関銃も、ソ連製の機銃であるDT(DP28軽機関銃の車載型)に換装しました。さらに戦争後半になると、より防御力を向上させるため車体の側面には丸太を取り付け、戦闘室の前面にはコンクリートブロックをくっつける改装も行われています。





キットでは、この「軽い改造バージョン=前期改修型」か「丸太もくっついた重改造バージョン=後期改修型」を選んで組み立てることができるようになっており、フィンランド軍仕様のための特別パーツにはちゃんと丸太もセット! 丸太はちゃんと北欧の針葉樹っぽい雰囲気の樹皮になっており、断面のケバ立ってる感も生々しい。コンクリートブロックも、まさに「コンクリ盛って盛りっぱなし」なザラザラ感で、戦地で急造した感がナイスです。
というわけで、普通のⅢ突とは一味違う、フィンランドのⅢ突でした。実戦で鍛えられたゴツくてスパルタンな雰囲気を味わえるキットなので、ぜひ手に取ってみてくださいね!