中からも外からもタミヤの気合を感じるイケてるプラモ!!「1/35 タミヤ ドイツIII号突撃砲B型」レビュー

▲このグレー一色の岩石みたいな戦車、実は「戦車」じゃないんです。タミヤの「III号突撃砲B型」をレビュー!

 多々例外はありますが、戦争というのは基本的には歩兵が敵地に突入し、敵を掃討して土地を占領するのが一応のゴールです。なので戦車も戦闘機も爆撃機も、突き詰めれば歩兵が土地を占領するための補助的な武器ということになります。が、そうはいってもこれらの武器は歩兵にぴったりくっついて動けない場合もあり、もっと使い勝手がいいものがあればそれに越したことはない。ということで第二次世界大戦時にドイツで生まれたカテゴリーが、「突撃砲」です。

▲低いシルエットにカクカクした車体がかっこいいです

 ではこの突撃砲とは何かというと、「歩兵にくっついて移動でき、歩兵だけでは攻め落とせない硬い目標(強固な陣地など)をやっつけるための大砲」です。歩兵にくっついて移動しなくてはならないので、車両に引っ張られたりするのではなく、荒れた地面を自走する能力が必要です。反面、敵味方が激しく動き回りながら戦う戦車同士の戦闘のような状況は想定されていないので、製造がめんどくさくてお金がかかる回転式砲塔は無し。敵弾に耐えられる装甲を持ち、敵にみつかりにくい低い車体から強力な砲弾を打ち込んで、生身の歩兵たちには荷が重いターゲットを撃破する……というのが、当初考えられていた突撃砲のコンセプトでした。大砲が歩兵と一緒に突撃するから突撃砲。わかりやすいですね。

▲砲塔がないので車内はめっちゃシンプル。キットは内部の雰囲気も楽しめる内容でグッド!!

 そんな突撃砲の代表格がⅢ号突撃砲、略して「Ⅲ突」です。突撃砲用に車体を新しく設計する必要も特にないので、既存のⅢ号戦車の車体に7.5㎝砲を積んだ構成。この大砲は砲身がぎゅっと短く、ゴロンとまとまった見た目がなかなか無骨です。突撃砲は実際なかなか使い勝手のいい兵器だったらしく、途中から「これ、歩兵の支援だけじゃなくて戦車とも直接戦えないかな」という無茶振りが発生。それに応えて強力な大砲を積みまくった結果、どんどん砲身の長さが伸びました。が、B型はまだ当初のコンセプトに忠実だった時期の車両なので、こんなに砲身が短いわけです。車体色も大戦前半のドイツ軍でよく見られたジャーマングレー一色。まさにイケイケな無敵ドイツ軍という時期の車両ですね。

▲こちらは1/48スケールのIII号突撃砲B型(奥)とIII号突撃砲G型(手前)。戦いを通して、ここまでシルエットが変貌します

 キットは2005年に発売されたもの。実はⅢ突とその元になったⅢ号戦車はタミヤMMでも比較的初期にリリースされており、Ⅲ号戦車M/N型が1971年、そして翌年にはⅢ突G型のキットが発売されています。が、G型はⅢ突としては後期のモデルで、砲身の長さはずっと長大。B型の発売は33年後まで持ち越しとなったのでした。

▲異素材のパーツが最初からセットされている。めっちゃテンション上がるよね
▲パーツ点数は車内まで再現された車両のキットとしてはほどほどです
▲タミヤMMでは初めてカラープリントの塗装図がセットされました

 それだけ待たされただけのことはあり、タミヤのⅢ突B型は内容も充実。キットには内部のライフリングまで彫刻された引き物の砲身がついており、車体後部のエアインテークなどを再現するための専用エッチングパーツも付属。さらに車体内部もがっちり再現され、一部のサスペンションはバネの力で本物同様に可動するという凝ったものです。

▲細い金属線がサスペンションの軸にくっついているのがわかりますでしょうか
▲指で押すとアームがたわんでうれしい

 そのバネ可動のサスペンションがこちら。第一転輪と第六転輪に金属線でテンションがかけられており、指で押し込むと本物同様に転輪が取り付けられているアームがたわみます。さらに他のアームもフリーの可動式になっており、情景などを作る際には地形をしっかり追従した位置に固定できます。

▲大砲だけでも全然メシが食える出来!!

 車体内部の再現に関しても嬉しい限り。突撃砲のハッチはけっこうガバッと開くので割と中身が見えやすいんですが、中身が作られているので問題なし。主砲が全部できている他、無線機や砲弾ケース、乗員が戦闘するための手榴弾のラックなども再現。回転型の砲塔を搭載していない戦闘車両の戦闘室って本当にシンプルなのね……というポイントを組み立てるだけで理解できます。そりゃ確かに、これなら量産するのに手間もコストもかからんわ。

▲文句なくカッコいいぞ!
▲人形と比較すると、めちゃくちゃ車高の低い車両であることがわかるかと

 組み上がってみるとこの精悍さ。いわゆる「T-34ショック」(ソビエトの第二次世界大戦を象徴する傑作戦車T-34と対戦してドイツ軍が苦戦を強いられたこと)以前の、ゴツゴツしたドイツ戦車(Ⅲ突は戦車じゃないけど)らしい雰囲気が超かっこいい。カクカクに立ったエッジに各部のシャキッとしたディテールが組み合わさり、砲塔はついてないのになんだか見飽きない面白さがあります。

▲砲塔が無い分完成も早い!!

 というわけで、Ⅲ突ことⅢ号突撃砲でした。砲塔こそついていませんが車体のボリューム感は実質戦車。でもめんどくさい工作もないし塗装はジャーマングレー1色で十分かっこいいし、「初めてMM作るんだけどどれがいいかわからない」「手っ取り早く戦車を作った気持ちになりたい」という人にもお勧めできる内容です。なにより「待望のB型なんだからハンパな真似はできないっすよ」というタミヤの気合を感じるのが嬉しいですね。およそ17年前のプラモデル(マジかよ……)ですが、今でも全然通用する内容ですよ! ぜひ作ってください!!!

<a href="/author/gerusea/">しげる</a>
しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。