これ、何かわかりますか? もともとはトレース台やライトテーブルと呼ばれるもので、紙原稿の下から光を当ててイラストなどを写し描きする際に活躍していたそうです。「デリーターライト(http://www.deleter.jp/deleter_light.shtml)」という商品シリーズの最初期のものだった模様。
このトレース台は20年ほど前、妻がマンガ同人誌を作っている時期に購入したものだそうで年季が入っています。デリーターというマンガ画材をあつかうメーカーのもので、ここはペンにインク、スクリーントーンなど、マンガを描いていくうえでの定番アイテムをあつかっている会社だそうです。つけペンを手にする黒猫のロゴが可愛らしい。
マンガや絵を描くことがデジタルに移行していき活躍の場が失われた後、このトレース台は照らす道具とて新たな道を歩むことになりました。妻がシルクスクリーン版画をDIYしようとツールを物色していた際、このトレース台は紙をしくアクリルプレートを剥がされ、蛍光灯はブラックライトに替えられて製版するのに用いる露光機として活躍することになったのです。
それも10年も前の話となり、作業部屋の奥深くに追いやられてホコリまみれになっていました。「ブラックライトでプラモデルを発光させてみたいな〜」とボンヤリ考えていた自分だったので、このデリーターライトにはこれからモケイを照らして発光させる道具として、第三の人生を歩んでもらうことにした今回です。
PVC製の撮影用背景紙をバックにして、被写体であるプラモデルは黒のアクリル板の上に置きます。光源はブラックライトのみ。それをレフ板にしているスチレンボードで返すだけ。
とりあえずは絵力が強そうなグエル専用ディランザを撮影。まず、目につくのがビームパルチザンのエフェクトであるクリア成形の発光。そして頭部のメインカメラはガイアカラーの蛍光イエローで塗装してあるので発光が目立ちますね。機体のマゼンダ色の外装はクレオスのGXクリアピンクでキャンディー塗装しており、そこは可視光線を反射しています。グラファイトブラックで塗装した胸部、ヒザ当て、ツマ先もシブく輝いています。
パーティーや遊園地などの会場にて、ブラックライトで歯や白シャツが発光したのを見た覚えはありませんか? 続いてはカーモデルでよく見かける「キミ、塗られる気マンマンだな!?」という真っ白いボディやパーツがどう反応するか確認しました。結果、ブラックライトで発光するというよりも、レフ板で返ってくる青色の包囲光に染まる感じとなりました。
ブラックライトでどのプラモデルが発光するのかを探すのが楽しい。どの成型色が光るかわからない。クリアパーツだからといって何でも発光するわけじゃないようです。今回はメカトロウィーゴの目が異様に発光していて愉快。たしか蛍光イエローを塗っていたはず。
そう、お手頃に流通しているLEDのブラックライトでもプラモデルを発光させての撮影は楽しめます。ただ、蛍光灯のブラックライトと比べてLEDの光源は収束して強くなりがちなので、撮影対象と距離をはなして照らす必要はあるかと。
今回紹介したデリーターライトは廃版になっているうえ、他のトレース台も主流がLED仕様になっている模様。もし、ブラックライトで照らすのを試してみたいのであれば、自作してしまうのもひとつの手かと。ブラックライトの明かりを光源とし、光銀ボール紙をリフレクターにして拡散させるだけという、仕組みは単純極まりないのでカタチにするのは難しくないかと。
今回、手もとのいろいろなプラモデルをブラックライトの光で照らしてみました。「どれが発光するのかな?」と、プラモデルをいつもとは違った角度で見つめる機会となりました。これは模型でライジングするポイントがまたひとつ増えたという事になります。喜び!
もうひとつ、マンガ同人誌制作の道具であったトレース台がシルクスクリーンDIYの露光機となり、これからは模型撮影のブラックライトとして活躍していく。アナログで廃版にもなった道具がふたたび、みたびと輝きをとりもどす。道具好きな自分としては有意義すぎる出来事でもあった今回でした。エンジョイ発光!!