「親方!空から巨大ニッパーでプラモのランナーを切断しようとする女の子の可動フィギュアが……!」という強火の情報大渋滞が楽しめるのがfigma アンジェの相方、ランナちゃんである。私はそもそも三白眼の女の子が大好きなのだが、山下しゅんや氏による三白眼は3倍の破壊力を誇り、古代エジプトでも民衆から崇められていたという(エジプトの壁画、だいたい三白眼だよな!)。冗談はさておき、このフィギュアはもう「いま私はプラモを作っています!」という状況を説明するのにもってこいなのでモデラーはみんな買ったほうが良い。
アンジェちゃんは巨大なエアブラシのハンドピースを持っていたが、ランナちゃんはしっかり「1/12のエアブラシ」を持った左手がセットされている。そして巨大なニッパーだけでなく、右手に握られた「1/12のニッパー」も完備。きみはいったい右利きなのかい?左利きなのかい?
あと写真を見ればわかるとおり、机と椅子も付属するのでアンジェとランナを揃えればふたりしてプラモを作っている様子を楽しむことができてしまう。この二人がどんな関係性なのか言葉で語られたことはないが、以下のイラスト集を眺めることで妄想が捗り、あなたの秘密のブンドドにも文脈が発生すること間違いなしだ。
また、フェイスパーツは3種類が取り替え可能。いちばん謎なのは「目閉じ顔」が付属することだが(プラモ作ってて目を閉じるのは限界丸になって居眠りをこいているときだけだ)、右手に缶スプレー(これの造形も単純にリアルですごい)をもたせて目閉じ顔にすると、明鏡止水の気持ちで入魂の塗装をカマすランナちゃんの図が完成する。コミカルだ。
文字通り机の上で小人さんがプラモを作っているような景色が生まれるfigmaのアンジェ&ランナ。もちろんプラモの世界でもバリバリ大流行中の「1/12スケールの小物」をたくさん用意して彼女たちの世界を作るもよし、あなたのアシスタントとしてスカウトするもよし。大量の気の利いた模型用具を携えたふたりの可憐な少女が、あなたの作業スペースをぱっと華やぐ異空間に変えてくれる。それもこれも、山下しゅんや氏がバリバリのモデラーだからこそ描けるすっごいデザインだと心の底から思うんですよね。そんじゃまた。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。