すべてはこのプラモのために/モノグラムの F-4ファントムII

 このキットのパーツを眺めていると「アメリカ人にだけ見えるファントム」というのがあると気づきます。機体の形状だけでなく細部の表現においても、日本やイタリアの模型メーカーが作ったモノとは違うと感じるのです。きっとこのキットを企画・設計した人のなかに、F-4の実機を製造するか整備するかで触っていた人がいるのではないか、とさえ思います。

 ワタシが1/72現用ジェットF-4ファントムⅡの魅力にとりつかれたのは1982年、小学校5年生のときでした。’82年はちょうどイタレリから、翌年の’83年にはイタレリ製品を凹モールドに変えたような構成のエッシー版が、そして’84年からはファントム全サブタイプのバリエーション展開を目指して日本のフジミが……と、出るわ出るわの1/72ファントム祭りの最中に多感な中学生時代を過ごしました。

 そして中学3年になった1986年、米国のモノグラムが傑作と呼ばれた同社の1/48スケールキットを1/72にスケールサイジングしたキットを発売しましたが、ホル塩少年の興味は航空機模型から実車のオートバイへ移りつつあったのと、「凹モールド全盛時代に凸モールドの新製品」というのに魅力を感じず、買わずにやり過ごしてしまったのです。

 四半世紀以上にわたるブランクが明けたら、こんどはその買い逃したモノグラムのファントムが欲しくなりました。あちこち彷徨い歩くも、市場から消えてしまったあとでした。「すべては後の祭り」と諦めかけた頃、ドイツレベルの黒い箱を身にまとったあのファントムに再会したのです。ええ、すぐにわかりました、中身はモノグラムだと。

 この後米国レベルに吸収合併されるまで、モノグラムは1/72でF-104Cなど発表しましたが、製品が放つオーラという意味ではこのファントムが頂点だったように思います。このキットの凸モールドを消さずにカッコよく完成させたい。日々の生活でどんなに辛いことがあっても、箱を開けて、パーツを眺めながら、いつかこのキットを完成させるんだと思うと乗り越えられる、大げさかもしれないけれど、モノグラムのファントムIIはワタシにとってそんな存在なのです。

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ホル塩(ほるしお)

宇宙戦艦ヤマト劇場版を小学校1年生で、ガンダムを2年生で、マクロスを5年生で体験した世代。以前は雑食でしたが、四半世紀にわたるブランクが明けてからは1/72の「第二次大戦以降/ステルス機以前」の航空機を作っています。リビングの隅っこでやってるので、基本水性塗料の筆塗りしかできないですが、それでもじゅうぶん幸せです。