吹けば落ち着く、飛行機の紺/タミヤ エアーモデルスプレーのネイビーブルー

 「今度のイベント、クリスチが出なよ。俺もう辞めるし」なんて言われて、初めて店の外のデカいイベントに出ることになったのは数年前。
 それまでイベントで外に駆り出されるということはほとんどなかったので、どのような格好で行くのか、会場に入るまでの手続きはどうするのかなどを色々聞いた。その中で「はぁー?」と反感を覚えたことが一つある。それは「当日はダークスーツを着用」というルール。
 当時も今も私のスーツはラインナップに若干癖があって、柄物が多い。無地のものでもダークグリーンやグレージュといった感じで、みんなが似合う無難なものというより、自分こそが似合うと感じる尖ったものを着ることが多いのだ。

 「ダークスーツ」という、統一感を求められるフレーズにえらく反発心を持った。それに、そもそも持っていないので、調達するのが面倒だというのもあった。
 とりあえず、知り合いに連絡して職場の近くでスーツを作ってくれるアニキを紹介してもらう。彼は私と同い年で、サバけた感じ。「ダークスーツが作りたい」と棒読みでいうと、「この辺ならいわゆる”ダークスーツ”っすね」と色合いや、光沢、風合いなどが全部違う生地を見せてくれた。
 それを見た私は、堅苦しい印象しかなかったダークスーツがこんなにも楽しいのかと驚いた。そして全て事情を説明したら「これなら(ダークスーツじゃないけど)わかんないよ」といって別の生地を持ってきてくれたので、少なからずダークスーツを着たくないと思っていた私は迷わずそれにした。

 私のネイビー観はそのときにジーンズのネイビーからスーツのネイビーにアップデートされた。「働くための粗野な青さ」から「豊かさとクラフト感のある深みのある青さ」に差し代わった形だ。

 タミヤのエアーモデルスプレーのネイビーブルーはスーツの生地のような少し品がある、落ち着いた色だと思う。スプレーを吹きかけると、今まさに覇権を握ろうとしている雰囲気満点のアメリカ兵も、ダークスーツを着させられた私のように落ち着いた雰囲気になってしまう。
 エアーモデルスプレーは缶に飛行機の絵が印刷されているので、一瞬飛行機用かと思う。ただ、私に生地を勧めてくれたスーツ屋の彼のように「(飛行機模型用の色だとは)わかんないよ」と思いながら、様々なカラーを買っては色々なプラモデルに吹き付けている。どのスプレーのラインよりも絶妙なニュアンスの色が多いので、本当に楽しいのだ。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。