工業製品の工場などで活用されているウォーターブースを模型サイズにして世に発表したエアテックスの「ウォーターブース Niagara」。5月の静岡ホビーショーでの発表は多くの人に驚きを与え、nippperの公式ツイッターでのホビーショー速報の中でも大変盛り上がりを見せたアイテムです。
発売は2022年秋を予定。そんな「ウォーターブースNiagara」の先行タイプがnippper編集部に到着しました。先行モニターサンプルなので、実際発売される商品とは外観などが異なる場合があるそうですが、早速どんな商品なのかバンバン使ってみましょう!みなさんが気になっている「作動音」「湿度」「廃液処理」もしっかり確認していきますよ〜。
最大の特徴である「ウォーターカーテン」は、塗装ブースの下にセットされた水受けからポンプで水を循環させます。まずは水受けに大量の水を入れます。水受けには、適量を示す線が刻印されているので、それを目印に水を入れてください。
塗装する場所と水道が近かったので水受けに直接水を入れましたが、8リットル近く水が入るのでめちゃくちゃ重くなります……。使用する場所に水受けを起き、バケツなどを使って水を運んだほうが良いですね。
水受けの準備ができたら、電源や塗装ブースと合体。筐体はかなりデカいです。ホビーショー会場ではコンパクトに見えましたが、展開すると横600 X 奥行490 X 高さ500mmとなかなかのサイズになります
ブースの上にホースを付ければ完成。ブースの吸引力をしっかりと発揮したい場合は、写真のようにホースを折り曲げない方が良いです。塗装ブースの中にセットされている透明のアクリル板に沿って、水が流れます
これで準備完了です。ウォーターカーテン用のアクリル板が青いフィルターの前に立っており、これに沿って水が流れ落ちます。ウォーターカーテンと吸引ファンの電源スイッチはそれぞれ独立しています。スイッチオンで、いい感じの音がしてきましたよ~~。
気になる作動音ですが、75.2dBという値が出ました(メーカーの公式リリースでは53dBという数値。窓を開けたスペースで、周囲の環境音も拾っている簡易測定です)。これはセミの鳴き声ややかんの沸騰音と同じレベルらしいですが、体感ではそこまでうるさいものには思えませんでした。フミテシはふだんタミヤのツインファンを使用しているのですが、それと雰囲気はあまり変わりませんでした。
ファンとウォーターカーテンが始動したので、早速缶スプレーを吹いていきます。使用するのは圧も強くて、一気に大量のミニチュアを塗装できる最強の缶スプレー「シタデルスプレー」です。このスプレーを受けとめることができれば、他のスプレーなんて余裕でしょう。溶剤臭も独特な上に、屋内で使用すると細かな塗料が舞ってなかなか扱いの大変なアニキスプレーと対決です。
海外の圧力が強い缶スプレーもがっちりと受け止めました。匂いも凄くマイルドにしかしません。水で受け止められるので、吹き返しも全くなく、塗料が舞わないのが本当に最高です。塗装ブースの床板にも塗料のミストがほとんどついていませんでした。
ウォーターカーテンの直近で塗料を吹くとなると、「湿気」が気になりますよね。先ほど塗装したフィギュアはしっとりしていましたが、つや消しや光沢のような仕上げスプレーはどうなるでしょうか?
湿度が塗装に影響するようなことはありませんでした。これは雨天曇天といった外の天気のほうが圧倒的に影響しますね。興奮しすぎて模型自体をウォーターカーテンに突っ込まない限り大惨事にはなりません。これなら快適に塗装できます!
シタデルスプレーをほぼ1本使いきるという、かなりハードな使い方をしてみました。そうなるとブース内はどうなるのでしょうか?
ウォーターカーテンの奥にあるアクリル板がめちゃくちゃ汚れています!しかしじつはこれのほとんどがウォーターカーテンの左右から回り込んだ塗料の粉がアクリル板の裏側に吸着したもの。乾燥した塗料の粉末がふわ~っとへばりついているだけで、表はほとんど汚れていませんでした。
水を使った塗装ブースは初体験。お片付けも初めて尽くしです。とくに「水によって受け止められた塗料ってどう処理すればいいんだ!」となったので、速攻でプラモ塗料メーカーに電話して聞いてみました。
【1】ゲル状になった塗料は、雑巾やキッチンペーパーで拭き取った後、完全に乾燥したらごみで捨てる。
【2】汚れた水は、上澄みの汚れをキッチンペーパーや不織布などでできてフィルターで吸い取る。
【3】汚水は絶対に台所やトイレに捨てない。上澄みの汚れを取り、新たに水を追加して、継ぎ足し継ぎ足し使うのがベスト。捨てたい場合は、水を完全に新聞紙などに吸わせて、乾燥後に捨てる。
うーん、なかなか大変ですね。上記を踏まえると、ラッカー塗料や水溶性塗料(水性ホビーカラーやタミヤアクリル)を使用して塗装する場合は循環させる水を最低基準値にして扱うことで処理する廃液の量が減り、取り回しが良くなるはずです。最初から大量に水を入れすぎると、そのぶん廃液の量も増えて処理が大変になります。
塗装ブースとしては、吸引力も素晴らしく、塗料の舞い上がりがほぼないというスゴい性能を持っています。机の周りやお部屋にミストが舞った形跡も全く残りません。
塗料がカーテンに受け止められて流れていくさまは、見ているだけでエキサイティング。楽しすぎてフィギュアを20体も塗ってしまいました。後は個人的にはお片付けの手軽さが改善されると最高ですね!本製品、「エアテックス ウォーターブースNiagara」は2022年秋の発売を予定しています。お楽しみに!
撮影協力/ジャイアントホビー
ジャイアントホビーオンラインショップ/http://shop.giant-hobby.com/
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)