実践!ネロブースminiの能力を最大限に引き出すインストール方法。

 塗装ブース界のトップアイドル、ネロブースminiを導入するぞという話はここから読もう。ブース本体の上に接続されたシロッコファンを取り付けて、サイド出しのダクトから左側にある窓の外に向かって排気したいというのが課題。排気ダクトの長さは最低限にして、ダクトを一切曲げないことでネロブースminiのポテンシャルを最大限に発揮してもらいたいのだ!

 かと言って窓に丸い穴をあけることはできないし、説明書に書いてある「スチレンボードを窓枠に突っ張って穴を開ける」という運用もいいのだが、居室にスチレンボードがそれなりにドーンとむき出しであるのは美観的にやや問題がある。市販のエアコン用ダクトパネル(窓枠にビタッとはめる高さ調整が可能な穴あきボード)もあるのだが、適切に対処しないと虫が入ってくるし、寒そうだし防犯上アレだし……。

 ということで、居室にあっても嫌な感じのしない質感で、作り付けのような雰囲気を出したボードをダクトパネルに選定し、塗装するときだけサクッと窓を開けて終わったら閉めるという運用でやっていきたい。

 まず窓の前にビタッとハマる板を買ってくることにした。コーナンは何度行ってもテンションが上がる。サービスエリアとコーナン(とスーパービバホームなどを始めとしたDIYショップ全般)は異様に興奮していつもカネを使いすぎてしまうので注意したい。コーナンの中にあるどら焼き屋さんはSAとホムセンの悪魔合体みたいで強いですね。

 さて、高さ120cmくらいの窓をカバーできて、屋内タイプの網戸のレール(これは新居のラッキーポイントだった。普通は窓の外に網戸があるもんね)を利用してピタッとハマるサイズの板を探す。ファルカタ材という比較的軽いのが加工しやすく、幅、高さ、価格の面でも良さそうだった。1000円チョイで買って、メジャーで測っておいた「網戸レールにスコッとハマる高さ」を伝え、コーナンの職人に切ってもらう。チュイーンと切って、工賃は30円。木材というのはボリュームに対して安価に手に入るし、加工のための工具や設備がいっぱいあっていいよなぁ……と、プラモと少し違う様子に感心したりする。

 家に帰って板を窓の前面にハメて、ネロブース側から伸びるダクトの高さを測ったら(だいたいでよい)、開けたい穴のセンターに目印を付ける。ダクト径は150mm。……ところでそんな穴を開ける工具はあるのか。小さめのボアビット(ドリルというより地下鉄を掘るシールドみたいな形状の工具)は持っているが、φ150mmなどという巨大な穴を開けたことはない。ざっくり調べても、ネット注文で加工してくれる業者さんはしっかりとした対価を要求してくるし、何より納期が謎である。ホールソー? φ150mmだと数万円しますね……。

 いろいろ限界になってツイッターで意見を募ったところ、「自在錐」という工具があることを教わった。ミカンセーキさんありがとう。今日の今日までこんな工具がこの世に存在していることすら知らなかったぜ……。

 オレが買ったのは直径40-200mmの穴を開けられるヤツだったけどAmazonから消えてる。なぜだ……。

 地獄第三小学校の生徒が課題をやるときに使うコンパスみたいな見た目だが、実際の使い方もほとんどサークルカッターのバケモンみたいなもの。センターを出すためのドリルと左右に伸びたアームがあり、取り付け位置がスライド可能なノミの刃みたいなのがあり、これを任意の直径にセットしてから電動ドリルに装着してやっていくのだそうだ。IKEAで買った貧弱な電ドラが家具の組み立てに大活躍していたので、とりあえずコイツに装着してエイヤと印に突き立て、いざ回転!

 ちゅいーん!気持ちいい!となるはずだったのだが、マジで難しい。刃の当たり具合を繊細にコントロールしないと刃が材にめり込んでしまうし、カラカラと撫でるように回していても一向に木が切られていかない。角度、回転数、手から伝わる半トルク……熱く燃え盛る電ドリ(危ない)の唸りに耳を傾け、慎重にやっていく。

 目測で半分くらい切れたところで材を裏返し、再度チュイーン!世界で一番短いトンネル工事のように、両方の坑道を突き進む気持ち。「俺たちは、一分前の俺たちより進化する。一回転すればほんの少しだけ前に進む。それがドリルなんだよ!!」と叫びながら、だんだんコツを掴んでいくのだが、IKEAの電ドラはこういうことに使うためのメカではないので安全装置(多分ヒューズ)が働きまくり、冷まし冷ましの作業となる。そもそもドリルではない。

※みなさんはちゃんとトルクに余裕のある工具を使いましょう。当然ながら工具の不適切使用は怪我につながるので要注意です。

 開通の瞬間。やった……。こんなにうれしい日曜大工、初めてかもしれない。およそ家にあることが考えられないような凶暴かつ原始的見た目の工具できれいな丸い穴が開く。二度と開けたくないけど……。あとファルカタ材(かなり柔らかい)じゃなければ右腕が折れていた。焼き杉の板とか買ってこなくてマジ良かった。

 そのままだとあまりにも白くてバルサみたいな見た目なので、ニスを塗るぞ。なぜならカッコいいと思っているYouTuberがなんでもニスを塗っているからだ。あと外側は外気に触れるから雨が当たったりするかもしれませんもんね。まあ、最近はなんでもかんでもニスを塗るとカッコいいと思っているので、とにかく木にはニスを塗っていく。渋くてダンディでクラシックな見た目になるといいですね……。

 ダクトを受けるためのツバ付きパイプ(金属製)を穴に装着する。接着はどうすればいいんだ……と思ったが、見た目と名前がかっこよすぎて4年くらい前に買ったまま未開封の接着剤を工具箱から発掘した。「ウルトラ多用途」というのはマジでウルトラ多用途すぎるのでビビる。逆にくっつけられない組み合わせを教えてほしいくらいなんでもくっつく。これは日曜大工におすすめの接着剤だが、一回開封すると使い切ることが前提らしいので注意(良い子は小さいのを買おう!)。

 接着剤を塗布し、ツバ付きパイプをインサートして4分で硬化(マジで!?)。完全硬化は24時間後らしいのだが、待てない。だって塗装ブースいますぐ使いたいんだもん……。

 ダクトを繋いで、ダクトテープをぐるぐる巻きにして固定!ネロブースminiにはちゃんと筋トレに使えそうなくらいの重さがあるダクトテープひと巻きとめちゃんこ長い蛇腹ダクトが付いてくるので嬉しい。

 今回の我が家の施工はダクトが最短距離(150mm程度)だし、ストレートにすることに成功したため、たぶん日本のネロブースのなかでも有数の排気性能を得ることになった。ちなみにフレキシブルダクトを90度に曲げると想像を絶する圧力損失がある(あと出口を薄型のパイプとかにして窓に挟むのも最高に排気効率が落ちるのでメカにも身体にも良くないです)ので、みんなもダクトは可能な限り短くストレートに出すよう気をつけましょうね……。

 完了。吸い込むパワーとかはみんながレビューしてるからそちらにお任せしますが(実際使ったら「え、匂いがしないんですけど……」となり、音も静かすぎていままで使ってきた塗装ブースたちとはなんだったのか……と愕然。正直これは模型を趣味にするならば安い投資だと思います)、せっかく模型部屋を作るならカッコいい塗装ブースとその排気システムを自分で作るのも楽しいということがわかりました。

 っていうか、「模型を作るために模型とは違う脳を使う」って、すごくいいですね。目的があって、道具が合って、加工という手触りがある!みなさんも「模型作るためにこんなことやってますよ」という自宅のこだわり(100円均一を使った節約術じゃなくて、自慢のオリジナルな施工ね!)があれば教えて下さい。そんじゃまた!

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。