プラモの汚し塗装を写真に撮るなら「濃いめカタめ」が映えるのかも。

 ラーメン店ではいつもチューニングに悩む。ヤサイを増すかどうかは腹の減り具合というわりと物理的な質量の話なので選びやすいのだけど、「麺の硬さ、味の濃さ、油の量いかがなさいますか」と聞かれてもその場で自分がどんなラーメンを食べたかったのかはあまり明確ではなく、「あ、全部フツウで大丈夫です」と答えてしまうことが多い。で、食べ終わってから「うーん、もう少しパンチのあるラーメンを食べても良かったな……」などと思うのだ。

 長らく組んだままだったタミヤの戦車模型、新しいKV-2はとんでもなく面積の大きな砲塔があったりして、これをべたっと緑色で塗るとなんだか変化に乏しいこということは予見していた(実際、古い方のKV-2は自分が初めてグラデーションを入れて戦車模型を塗ったように記憶している)。ということで、思ったよりもうんと明るい、ほとんどグレイグリーンのような色をエッジに乗せて様子を見てみる。まずは暗いところと明るいところをわざと大げさにしようという魂胆だ。どこを明るくしたいかは完全にその場のノリで決めているけど、あとで汚し塗装(だいたいそういうのは暗い色だ)で沈みそうなところを重点的に明るくしておく。

 「GSIクレオスのウェザリングカラーは油絵の具と違って輪染みにならない」という人がいる。シャバシャバのグレイッシュブラウンを水平面にでっかい筆でベチョベチョと置いてみる。普段ならもっと慎重に置いたり伸ばしたり叩いたりを考えるけど、今日はあえて大胆に。ひたすら汚れ塗装がたくさん重なって明るいところと暗いところのコントラストができたらどう見えるかというのを知りたいのだ。

 垂直な面にはステインブラウンで赤茶色の質感を足してみる。ウェザリングカラーは乾燥までたっぷり時間があるから、気に入らなければ拭き取ったり、乾いた筆でボカしたりもできるのが楽しい。とにかく面を全部塗りつぶしてしまうのではなくて、戦車の持っている輪郭線に暗い色が集中するようにひたすら汚れを足していく。
 ほとんど黒に近い茶色を凹んだところに流し込んだり、サビの鮮やかなオレンジを目立つところに置いたり、わざと塗装のハゲをスポンジの切れ端で描いたりしていると、まるで絵を描いているようだ。戦車がこんなに錆びたり剥げたりするかというとかなりウソで、リアルかどうかよりも「味の濃い戦車模型」を見たいということに尽きる。そういえば今まで作ってきたプラモも、汚しが上手くいったと思ってリビングに置き、遠目にソファから眺めると随分ぼんやりして見えるのが毎度のことだった。

 なんだかちぐはぐに見えるところもあるけど、いつも自分が作る模型よりもずいぶんとコントラストがある姿になってきた。肉眼で見るとさらにちぐはぐな印象もあるんだけど、全体的に汚し塗装が整いすぎていると写真を撮ったときにどうしてもボンヤリして見えるのが常だ。少なくとも、SNSでスケールモデルをドヤッと見せたいときは濃いめカタめに汚す(色数は多く、明るいところはちゃんと残しておいて、コントラストをキツくする)のが良さそうだ。汚しまくってただただ全体が薄暗くなっていくよりも、ずいぶん情報量が増えて見える。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。