プラモの景色に「高さ」をプラス/建立!リアルな電波塔

 小さな軍用トラック(HEMMT)をジオラマ仕立てにしたいんだけど、上の写真のようにベタッと地面においいただけだとどうしても平らな景色になってしまうことが気になっていて、なかなか地面の造成にとりかかれない。こうなると高さのあるオブジェクトがほしいのだが、「1/72の建物」ってなかなか売られていないし、自分で作るのはカロリーが高い。脳内のイメージでは砂漠なので木を生やすわけにもいかない。参りましたねコレは。

 何かいいものはないかと模型店をいろいろ巡っていたら、鉄道模型コーナーにこんなものがあった。鉄塔の模型だ。いわゆる「マイクロ波中継局」にあたるもので、国籍や大きさや土地の植生にあまり関係なさそうだし、無機質だけど一発で具体的なカタチになっているのがいいなと思った。ようは、どんな景色にも、どんなモチーフにも馴染むリアルな建造物に見えることが名脇役として実力派だということ。

 円錐型のカバーがくっついたパラボラアンテナはランナーに付いていて、その他のパーツはビニール袋に小分けにして入れられている。いわゆる「プラモ」と「塗装済み組み立てキット」の中間にあるようなアイテムだ。塗装済みなのでフツウのプラモ用接着剤では厳しいため、少量の瞬間接着剤でぴしっと貼る(ちなみに製品では鉄道模型ユーザーが常用するゴム系接着剤を推奨している)。

 全体的には簡単な構造だし、素材や塗装の関係でいわゆるプラモ的なシャキッとした精密さに欠ける。でも、組み上げてみると案外緻密に見えるもんだ。こういうのはギンギンにシャープであることよりも「そこにある」ということが大事っぽいなと感じ始める。見せたいのは車輌とその周囲にいる人だから、それに加えて「うしろに鉄塔があるな!」とか「手前にちょっとした灌木が生えているな」というのを低解像度でもいいからプラスしていくのが良さそうだ。全部力を入れていると息切れしてしまう、という側面もある。

 キットの内容物としてすごくおもしろいなと思ったのが、こういう「あるある」の感覚を刺激してくれるシールだ。鉄塔の周辺に掲げられがちな注意書きの看板を自分で切り出して貼ることができる。周囲を金網で囲ったりするとさらにリアリティがUPしそうだし、鉄塔が不在でも、ただ地面にフェンスを立てた小さなジオラマを作り、そこにこのステッカーを貼ると「鉄塔があるのだな」ということを見るものに予見させることもできる。見立てとは、脳内補完の物語でもある。

 朝食後の少しの時間で、高さ20cmの電波塔が完成。パラボラアンテナは大小2種類が3個ずつ入っているので、本物の写真を見ながら好きなところに貼り付けると楽しい。ちなみにパッケージにはこの電波塔2つぶんのパーツが入っているので、もう一つ建ててもいいし片方は破壊された情景にしてもいいだろう。

 最初の写真とほぼ同じアングルでパチリ。奥に電波塔が建ったことで、画面を垂直に分割してくれるラインができた。一応キットはNゲージに合わせて1/150となっているけど、本当に1/72だとこれの倍くらいの大きさになってしまうし、電波塔にだって大小はあるだろう(つまり、スケールをあんまり気にしなくていいところがナイス。もちろん1/144のガンダムと組み合わせて大きさを演出するのもいい)。プラモデルではなかなか発売されない建造物も、使いようによっては鉄道模型の世界から借りてくるのも良さそうだ。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。