ショーウィンドウを眺めていたあの日の僕へ/アオシマ CB400T

 街の模型店のショーウィンドウには、お店のスタッフや利用客の方が作ったプラモデルの完成品がよく展示されていました。まだ10歳にも満たなかった僕は、そのガラスの中を眺めては、いつかは自分もこんなものが作れたらいいなぁ、と思っていたものです。

▲模型店やおもちゃ屋さんのショーウィンドウには、いつの時代も夢がある/写真・フミテシ

 様々なものが飾られている中で、ひときわ目を引いたのは、バイク模型でした。妖しく銀色に光るエンジンとマフラー、ツヤツヤのカウル。本物をそっくり縮小して、今にもエンジンの爆音が聞こえてきて動き出しそう……と、僕の心を震わせてくれました。
 あの日の僕に、「大人になったらこんなカッコいいの作れるんだぜ」と得意げな顔をしたくて、アオシマのCB400T HAWK-II ’78年版を買いました。

 箱を開けると、想像以上の部品の少なさと、そのわりにカタチから直接的に「バイク」を感じるものがほとんどないことに驚きます。二輪車のかたちを背負っているのはフレームとホイールぐらいのものでしょうか。シートやカウルは1パーツで成型されています。成型色もカラフルではなく、よりプラモらしいストロングスタイルな分いになっています。今回は塗装をしたいので、メッキパーツのメッキも落としてみました。

 仕上がりを待ちきれず未塗装のまま、バイクの形にしてみました。プラスチックの塊が2輪車という記号に変わる言いようのないこの瞬間、アドレナリンに似た何かがドバーっと出ます!

▲一旦ばらしてから、塗装開始です

 バイク模型は塗り分けと接着の順番に悩まされることが多いのですが、この商品は「塗る」→「接着する」という手順が驚くほどシンプルです。エンジンやマフラーと言ったシルバーのパーツと、フレームなどの黒パーツを、それぞれ塗装しておいてぺたぺたと貼り合わせていくことで、徐々にバイクの形になっていきます。

 プラモを作るのが楽しくて、朝1時間の早起きを10日ほど繰り返しました。乾燥に数日おくことで、賞味2週間、14時間程度で完成!!。製作にあたって、難しい工作や特別なテクニックは使用していません。ちょっとだけこだわったのが、実車カタログ等を見て「こっちの色の方が好みだな」と思った色に調色し、カウルをコンパウンドという研磨剤で磨いたぐらいです。

 ネットで少し探せば、あの頃模型屋のショーウィンドウで見たものよりもずっと、複雑な工作や技術を凝らした作品に行き当たるようになりました。いつかは自分もこんなものが作れたら、という気持ちは10歳の頃から変わらず、いえ、もっと強く抱くようになったかもしれません。
 10歳の僕は今の僕を認めてくれるだろうか、今の「いつか作れたら」は、いつか達成できるのかな。
そのためには、次はちょっと工夫を入れてみようかな。そんなことを考えながら、自分の作ったCB400Tをまじまじと眺めているのでした。

三年与太郎
三年与太郎

1986年生まれ。放送作家を経て、現在は会社員の雑食モデラー。
心のよりどころはプラモ制作、鎌倉散策、写真撮影。