こんにちは、コンテナ好き太郎です。コンテナの上げ降ろしを見るために埠頭へ行って、コンテナの上げ降ろしを眺めるだけで最高に幸せ。なんの変哲もない箱に見えますが、これが世界中を旅して、世界中の港や車がこの規格に合わせて作られていて、どの国に行っても船や鉄道が同じコンテナを運んでいるというのがいいんです。地球のみんなが効率よく暮らすために作った、唯一無二の共通言語かもしれない。
さて、それは戦場でも同じです。そもそも海上コンテナはベトナム戦争のときに荷物を運ぶのがめんどくさすぎて「同じ大きさの箱に入れればよくない?」と気づいたところからスタートしました。現代の米軍も敵弾がいつ飛んでくるかわからないところまで食料や弾丸や生活必需品をコンテナに入れて運んでいます。そういう場合はただのトラックだと危ないので、装甲トラックで運ぶんですね。そしてコンテナの上げ降ろしをするクレーン車やフォークリフトは同行できません。
ということで、アメリカの装甲トラックを作ります。トランペッターが発売しているHEMTTのコンテナ輸送タイプですね。シャーシもキャビンもコンテナも、箱を開けた瞬間ほとんどそのままカタチになっている嬉しいプラモ!どっこい、組み始めるとなかなか小さなパーツが複雑に絡み合って楽しい。
接着式のプラモですが、ハメ合わせがちょっと硬いところもあり、無理やり押し込んでから流し込みタイプの接着剤をチョンと染み込ませると、パーツがモリッと割れたりします。でも慌てない。それはそういうもん。そもそも足回りのパーツは完成したらほとんど見えなくなるし、見たいのはその先にある「コンテナを上げ降ろしする大迫力の景色」なんですから。
あとから塗れなくなると困るので、こんなもんかな〜と思ったところで明るめの茶色(バフ)を吹いておきます。陰影に乏しいグレーから、艶が消えて色が入ると一気に細かなディテールが見えるようになります。手のひらより少し大きなサイズのトラックがだんだん姿を現し始めます。
シャシーに乗っかったアームには2つの回転軸があり、荷台そのものをトラックの後ろに押し出したり、そのまま引っ張り込んでシャシーに乗っけたりするというのがこの車両の特徴。キットでもそれぞれのアームがパーツになっていて、回転軸も「ここですよ!」という設計がちゃんとされています。しかしアームを動かすために油圧で伸び縮みするシリンダーはさすがに決まった長さのもの(アームが完全に格納された状態)で固定されているので、可動ギミックを楽しむなら自分でシリンダーを作らなきゃいけない。
この車両を単品で作るならサクッと組んでおしまい!ということにしてもいいかもしれません。どっこい、戦場に荷物を届ける果敢な運び屋をせっかく手に入れたので、少し欲を出して情景に仕立てても楽しいかもしれない。ここは荷台のアームをあえて固定せず、まずは「上げ降ろし」のシーンを作れる余地を残して完成宣言をします。コンテナだって、景色に合った色がいいもんね。
コンテナをべったり地面に降ろしたところを作ろうとしたら、1/35スケールでは全長50cmくらいのスペースが必要になります。どっこい1/72ならほぼ半分の長さに収まってくれる。ミニスケールの世界ってどうも解像度が低いとか、作るなら緻密に手を入れなきゃいけないと思っていたのですが、こうやって見慣れたディテールと少しのギミックがあり、そこかしこにぴしっとしたディテールが入っていると実感たっぷりです。さて、これにどんなストーリーをくっつければ景色になるのか、もっともっと楽しんでみようと思います!
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。