手のひらより少しだけ大きいHEMTTという装甲トラックを作りました。コンテナを自力で載せたり降ろしたりできるのがチャームポイントなので、上の写真のようにアームが動いているところを再現したいんですよ。しかしアームを動かすためのシリンダーはお行儀よくコンテナを載せた状態のいちばん縮んだ状態のものしか付属していない(上の写真ではシリンダーのパーツを外して擬似的にアームが展開している状態を示しています)。
あれこれ考えたのですが、こうなったらアームを展開させるためにギュルっと伸びた状態のシリンダーを作るしかない。シリンダーパーツの直径は1.8mmくらいしかないので、まず外径1.8mmの真鍮パイプを調達します。ウェーブからはいろんな直径のパイプがセットになったものが売られているのでとりあえずこれを持っているといろんなシリンダーができそうだ。
真鍮パイプはデザインナイフでほしい長さのところに傷をつけ、そのまま平らなところで刃を当てたままゴロゴロ転がしているとポリっと切断されます。この1.8mmパイプの内径は1.35mmらしいので、今度は1.3mmの真鍮線も調達してきます。
もともと縮んだ状態で固定されているプラモのシリンダーパーツを取り出し、両端の基部だけを摘出します。こういうのは目見当で適当にニッパーで切ればよろしい。などと書いていますが、こんな改造ふだんはほとんどしませんし、金属パイプと真鍮線の組み合わせでシリンダーを作るのも初めて。やってみなけりゃわからない。やってみたらおもしろい。できるかな?じゃなくて、やるんですよ。毎日が冒険だ。
プラスチックパーツの基部に1.3mmの真鍮線を差し込む穴を開けます。しかしいきなり直径1.3mmの穴をど真ん中に開けるのはマジムズいので、まずはなるべく中央に0.5mmのドリルでアタリとなる穴を開けましょう。これはどんな穴あけ作業でも絶対に重要な下準備なのでめんどくさくてもやること!
そうすると、薄皮一枚残して直径1.3mmの穴を開けられます。ちょうど1.3mmのドリルは持っていなかったので今回の作業のために「クイックドリルビットC」を買った。ちなみにクイックドリルビットAは0.5mm〜0.9mmが0.1mm刻みで揃っていて、クイックドリルビットBは1.0mm〜3.0mmが0.5mm刻みで揃っています。そんでもって今回手に入れたクイックドリルビットCは1.1mm〜1.9mmのうち、1.5mm以外が0.1mm刻みで揃っているため、これにてだいたいの穴開け作業は無敵となりました。しかも全部同じピンバイスに装着できるので最高。みなさんもドリルを一気に統一規格で揃えるとめちゃめちゃ効率が上がるのでおすすめ。
ぐへへ、伸びた状態のシリンダーができたぜ。あとから車体色とシルバーを塗ればカンペキじゃ。どうしよっかな〜と思って2週間くらい机の上に置いといたHEMTT君も、これにてようやく元気な稼働状態に変身。最初は「こんな細かい作業できるかな」とちょっと不安でしたが、ちゃんと道具が揃っていればなんとかなるもんですね。ちなみにこのシリンダー、決まった長さの真鍮線にパイプをただ被せてあるだけなので実際に伸び縮みするわけではありません。でも伸び縮みしそうに見えればオッケー。可動モデルの場合はまたやりかたがあると思いますが、金属でビシッとしたディテールがあるとやっぱり盛り上がりますね。そんじゃまた!
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。