戦場の力持ちを極小サイズに凝縮したプラモ/ミニスケールのM1120

▲Oshkosh M1120A4 HEMTT LHS with B-kit armored cab.
(https://oshkoshdefense.com/photo-gallery/?category=Vehicles, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons)

 ワタシ、海上コンテナが大の好物でして……という話の前に今月の『アーマーモデリング』読みました?戦車模型のメインストリームである1/35ではなく、それより小さい(具体的には1/56より縮尺の小さい)いわゆるミニスケールの戦車模型を特集しているんですが、これがめっぽう面白い。

 ミニスケールってことは図体が小さい(だいたいが手のひらサイズ)。なのでどうしても大きい模型では表現できていたことが省略されたり、小さいがゆえにボリューム不足な印象になったりというイメージがワタシにもあった。「あった」と過去形なのは現在そうでもないなと思っているということであり、とにかく1/72の戦車模型がアツいのです。
 小さくて(しかし表現としてはかなり細かいことをやる模型が増えてて)、割と小さなスペースに複数の車輌をディスプレイしたりもできるし、塗る面積も狭いので完成が近い。うまく塗れたりした日には「え、こんなに小さい模型がこんなにリアルに見えるの!?」とモテること必至。いいことばっかりだなミニスケール。
 そして模型屋さんに行き、なんかカッコいい1/72のAFV(戦闘装甲車両)ないかな〜と思ってたらウッとなってパッと買ってしまったのがこれ。海上コンテナを戦場で輸送するための重高機動戦術トラックだ。

 ハコを開けて仰天!もう20ftコンテナができている!ちゃんとロックロッド(扉のカンヌキ)も彫刻されている状態でワンパーツですよ。「なんか板をいっぱい貼ってコンテナ作らなきゃいけないのかな〜」と思ってたらもう最初から完成しちゃっているのでここでテンションが100を超えて130くらいになってしまった。なんせコンテナが好きなので……。
 そうは言ってもトラックの部分は自分でシコシコ組まないといけないんでしょう?1/72のトラックってかなりパーツ分割が細かそうじゃん。そうだなぁ、シャーシとか……。

 できてるじゃないですか!スライド金型でもうボルトナットの頭からサスペンションから何から何まで「レディ・トゥ・完成」のスーパーパーツ。大トロ食べたら今度はウニが出てきてしまった。ここは銀座の寿司屋か!?
 いやいや、人が乗るところはさすがにチマチマしてるんじゃないっすか?

▲シマアジ!!
▲活ホタテ!

 ハァ、ハァ……。いやこれはもうなんというか完成形がチラ見えというよりもガバガバに見えまくっていて、かなり良い。いやもちろん全体がこんなにいたれりつくせりの一体成型ばかりというわけじゃないんですが、大きくて特徴的なパーツはゴロンゴロンと入っていて、繊細な機構についてはちゃーんと職人が腕によりをかけた小さめパーツでご用意してますから、それはみんながしっかり味わってね!というタイプのコースですね。
 なによりコンテナってトラックの横につけたフォークリフトやトップリフターという重機で載せたり下ろしたりするんですが、戦場ではそんなまどろっこしいことをやっていられない。なので荷台自体がガチョーンと後ろに展開して、トラック単体でコンテナを地べたから拾ったり下ろしたりできるようになっているんですね。そういう機構も楽しめちゃうのがHEMTTのいいところ……。

▲見てよこの穴にスウッと入っていく2本のケーブルの彫刻をよ……。組みたいよね〜これは
▲ちゃんと繊細なパーツもあるので安心してください

 ミニスケールのトラック模型というのはあまり経験がないのですが、これを機に(せっかく小さくまとまっているので)なんか景色的なものを作ってみたいなぁと思う。いざ組み始め。小さくても小気味よい彫刻のパーツたちがピシリパシリと組み合わさって屈強なトラックになっていくのは楽しいものです。

 戦車だけがプラモの華じゃあございません。こうした支援車輌もいまではミニスケールで味わえ、さらにそこから広がる「システムとしてのロジスティクス」を感じ取り、想像することもできるというもの。
 さあ、模型店のミニスケールAFVコーナーを覗いてみましょう。まるでDIYショップの端っこにある熱帯魚売り場のように、ピチピチといろんな種類の小さなプラモたちがみなさんを待っています。お好きな組み合わせで、あなただけの対決シーンや共闘シーンを作りましょう。置き場の問題やひとつを作り上げるパワーに少しビビっていたあなたでも、きっと作り上げられる何かがあるはずです!みなさんも、ぜひ!

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。