

戦闘狂のサイヤ人や上弦の鬼の猗窩座じゃないけど、戦いの最中に己の求めるものを見つけるみたいなことがあった。
ZVEZDAの1/35 M-72サイドカーはこのスケールの中でも細かいパーツで構成されたバイクのプラモデルで、作っている最中も「イヤイヤこれは難しすぎるでしょう」と思わず口にするほどで、折れそうな細いパーツを精密に組み上げていく時間がずっと続く。半ば強引に流し込み接着剤でつけようとすると、極小のピンがヌメッとしてしまってしっかりと固定されないのだ。
「オールドスタイルで行くわよ」と気持ちを切り替えてタミヤセメントを使おうにも、今度はフタについたハケだと接着面に対して大きすぎてどうやってもはみ出すので、キッチンから爪楊枝を持ってきて仕切り直し。

爪楊枝でピンポイントを接着点を攻めていく中でも、より正確に作業をしたいと思う心から「爪楊枝よりも細い爪楊枝が欲しい」という初めての感覚に襲われる。
しかも後輪の取り付け方がかなりハードで、小さなパーツがくっつきあっている中で、無理やり軸となる部分を指で開いてはめるというもの。説明書を何度見てもそう書いてあるし、なんなら説明書に描かれている手の大きさを何度も確認した。説明書の手、小さすぎるだろう。
実際にやってみると案外うまくはまったところで「パーツの精度が悪い」とか「説明書が間違っている」という、言うなればトラップのようなものが存在していないことに気づく。

このキットは確かに難しいのだけど、その正体は「作業が細かい」というだけで、基本的にどのパーツもしっかりと合うのだ。極小の凹凸がパーツ同士の接着点を明確にしているし、パーツ点数こそ多かれど、どれも細かく割り過ぎているというわけでもない。ひとつひとつのパーツをつけていくごとにプラモの見た目は完成に向けて変貌し続けているし、退屈な作業がない。
爪楊枝とタミヤセメント、そしてピンセットを巧みに操ってみるみるとバイクが形になっていく時間がとにかく楽しくて「俺がやりたかったプラモデル作りってもしかしてこういうことでは?」と、まさに組み立てている最中に楽しみを見つけてしまった。

精密なバイクが出来上がったあとは、あまりの出来の良さに「人を乗せる必要性はないな」と思った。とは言え、ここまで出来がいいのであればやっぱり人の出来もいいわけで、アコーディオンを演奏する男性と飲み物を注ぐ男性の雰囲気の良さにさらに感動。
パーツ点数の多さや細かさにビビっていたけど、こういう、しっかりと組み立てていくことで着実に形になっていくプラモデルはまた作りたいなと思わされる。