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2000円が無限の価値になるから、プラモはめちゃめちゃおもしろい。

 2000円でできることって案外少ないんですよね。映画見る、ちょっといいランチ食べる、重ための文庫本を買う……。どれも楽しい体験ですが、たとえばめちゃくちゃ時間をかけて楽しむとか、そこにいろんなものを注ぎ込んでとても2000円には見えないものにできるというのがプラモデルのすごいところ。ということで飛行機模型の専門誌、『スケールアヴィエーション』最新号の特集は2000円で楽しむヒコーキ模型の世界(同タイトルの特集は2度目)です。そう、2000円持って模型店に行くと、案外選び放題なんですよプラモ。

 たとえば上のプラモはバーゲンで1700円くらいだったんですが、まず箱開けて眺めてるだけで1時間は喋れますね。そんでもって何色に塗ればいいんだとかどんな飛行機なんだとか調べてるとこれまた数時間が吹っ飛んでいき、さらに作り始めると組むだけで半日、塗ったり汚したり超リアルにしようぜとか改造しようぜとか言い出すと、事実上無限に遊んでいられるほど「やれること」がある。
 プラモの「間口が広くて異様に奥が深い」というのは、超安価にスタートできるし、最終的にそれがとんでもない価値(お金に換算できるか、心がめちゃくちゃ満足するか、誰かに死ぬほど褒められたりするのか、価値の種類はまちまちですが……)になるかもしれないということ。
 もちろん工具や塗料には別途お金がかかりますが、超ベテランも今日始めて飛行機模型に興味を持った人も、同じ2000円のプラモを買ってきて、作るという行為自体は平等。その先にどんな景色が見えるかは、文字通り「人それぞれ」っちゅうわけです。

 「2000円」のいいところはただお買い得である、ということだけじゃなくて、失敗しても再チャレンジできる程度の額でもあります。だからこそ、ちょっと高いキットではなかなか思いつかないような(あるいは怖くて試せないような)突拍子もない工作や塗装、見せかたをトライできます。あるいは目にも留まらぬスピードで作ってしまって「ああ楽しかった」とインスタントな快楽を味わうのにも向いています。
 今回は毎年恒例のSAコンベンションという読者参加型の企画でもあるため、「ざっくり2000円で買ったキットを2ヶ月以内にちゃっちゃと作る」というレギュレーションで仕上げられたプラモが大量に掲載されています。印象的なのは「これが本当に元値2000円なんですか!?」と驚くような上手いプラモも見られる反面、「2000円なら2000円なりに、ヴァーっと遊んじゃったほうが楽しいでしょ!」という勢いを感じさせる作品もたくさん見られるところ。
 おそらく普段は手元にある大事なキットたちを前に重い腰がなかなか上がらなかった人たちも、やっぱり安くて良いキット(&締め切り)を新しく買ってきたら、ズドンと作り上げて完成の喜びに浸りたいんじゃない……と、嬉しくなります。

 東雲うみちゃんのグラビアもたっぷり掲載のスケールアヴィエーション最新号。超絶作例だけが飛行機模型じゃなくて、お安く初めて高みを目指すも「ファン・トゥ・ビルド」だけを味わうのもいいんだぜ!というナイスな提案に満ちております。さあ、模型店の棚で値札を見てみましょう。誰かに褒められたり、自分で自分を褒めたりできる趣味の中で、こんなに安く始められるものは他にない……と改めて思えるはずです。ぜひ!

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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