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そのユルさ、今っぽい!1/32 タミヤ日本海軍パイロットに秘められたシルエット。

 「今回から少しゆったりとしたシルエットにしましょうか」
 いつもスーツ作りの相談に乗ってくれる店員さんが言い出したので、僕は自分の体型の変化に意識が向いて落ち込んだ。それを察したのか「最近は太めのシルエットに流行が変わりつつあるんで」と話してくれたのが4年前。新橋のタミヤプラモデルファクトリーでランナー売りされているパーツの中から、1/32日本海軍のパイロットを手に取って、その緩いシルエットの制服を見ながらそのことを思い出した。
 最近Instagramで美容師のアカウントをフォローしているが、髪の毛の色合いが信じられないくらい明るくて「こんな髪の色にできるのか」という驚きと、現実離れしたカラーリングに負けない奇抜なヘアスタイルや綺麗な色をした服装がかっこいい。それに若い子は身体に沿った服装をするというよりは、服のサイズ感を巧みに操って自分でシルエットを作るのが上手く、例えばダボダボのパンツをベルトでぎゅっと絞ったりするのがうまい。

 スーツが太めになってきているという話と、画面の中で日々更新される今のファッションが交差した頭に手元にある海軍のパイロットが重なると「このダボダボの服をベルトやベストで押さえつけている姿ってめちゃくちゃ今っぽいぞ!」ということに気づいた。スーツを作るときはたくさんの生地見本からどれにしようか悩むのが楽しいのだけど、その中でも店員さんが出してくる「とっておきの生地」みたいなものはプロの意見という感じで自分が想像しないような生地で、それがかっこいい。


 Instagramの中の彼ら彼女らは一瞬を切り取った写真の世界でしか成り立たないようなファッションを今やそのまま現実に解き放って街を歩いていて、色彩感覚も自分じゃとても真似できないけどフィギュア塗装ならなんとかいけそうだと思って取り入れることにした。派手な色で塗るときは、元の色を鮮やかにした色で塗る程度にとどめるとギリギリ軸に足がかかっている感じで収まりが悪くなりにくく、完成した姿に世界観のようなものをまとわせやすかった。

 出来上がったスーツを着る僕を見て店員さんは「いやー、やってみたかったんすよね。こういうの。バッチリだ。生地も婦人服向けのをあえて使ったし!」と言っていて結局実験台にされただけであったが、僕もジャケットの裏地をキルティングにしてくれとか変なお願いをしているのでお互い様だ。彼が採寸したスーツはきっと僕が塗った海軍パイロットのように「やってみたらバッチリうまく言った」というものではないだろうか。そのスーツは今も気に入っている。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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