飛行機プラモに投影された「北欧的な合理性」を眺めて思う/ハセガワ 1/48 J-35 ドラケン

 最高に楽しい解説書を読むと、どうしてもプラモを作りたくなってしまう。プラモを作るために本を読むこともあれば、本を読んでプラモを作りたくなることもある。出発の駅にも到着の駅にもなるのがプラモのふしぎなところだなといつも思う。

 すぐに手に入ってそれなりにボリュームのあるドラケンのプラモとなると、ハセガワの1/48スケールのものだ。2008年発売で、比較的新しい。国内で人気のある機種であることはもちろん、欧州市場に向けてもアピールする商品なのだと当時のハセガワは謳っていた。この飛行機はとても好きなのに、よく考えたら1/48モデルは作っていなかった。本を読んだ勢いで手に入れて、そのパーツを眺めてみる。

 飛行機模型の多くは胴体の左右を張り合わせてからそこに主翼や尾翼を取り付けていく構造になっているが、このドラケンは胴体の側面から巨大な三角翼が突き出してるので上下がバックリと割れたユニークなパーツ分割。そして全体の構成も唯一無二と言って良いシンプルさだ。

 説明書を読んで驚く。1ページ目で完璧に飛行機の形になってしまっている。1/48のジェット機ともなれば、コクピットを組んでから胴体を貼り合わせ、「士の字」になるまでそれなりの手順が必要なもの。しかし小ぶりでシンプルな(だからこそ未来的な)戦闘機は模型になってもそのシンプルさを主張してくる。

 機種の左右に突き出す長円形のエアインテークもランナーからスッと垂直に立っていて、(ほんのわずかにバリが認められるものの)すごく気持ちの良い曲面を見せてくれている。少ない手数でシャープな戦闘機が出来上がることが想像されて、組みたい気持ちがムクムクと湧いてくる。特別にこの戦闘機だけをそういうテイストで設計したわけではないだろうと思うから、やっぱりこのシンプルさは実機のスタイルと構造によるものなんじゃないかな、と改めて思うのだ。

 ドラケンは配色もシンプルだ。迷彩塗装をまとった機体もあるが、脚柱やホイール、タンクなどなど「飛行機模型のダイナミズム」とは違ってチマチマした形に付き合う箇所は銀色に統一されているのもなんだか合理性を感じさせる部分で、嬉しくなる。

 実物の写真とタイヤのパーツを見比べる。ああ、軽くて小さな機体で、空気圧をパンパンにしているから自重で変形している様子はないんだなぁ、なんてエラそうなことを考えたりもする。漫然とその外見で気に入っていた飛行機が、本を読んだ知識と実機を見てきた思い出と繋がって、なんだかいままでよりグッと具体的に手中に収まりそうな予感がする。いま作っているプラモが一段落したら、次はドラケンを作ろう。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。