SMERの激安プラモ、フィッシュベッドにやたら繊細な「逆ゲレンデマジック」を見た日。

 「これは自分でこっそり楽しんで、ワハハでいいや」と思って買ってきた息抜き用のプラモ。メーカー名はSMERと書いてスムニェルと読む。実売1000円くらいだったな。プラモの息抜きにプラモ作ってるんで全部息抜きみたいなもんなんですが、よそ行きでも着ていける服とパジャマみたいなのがあるのでそういうのを使い分けようってわけです。んで、とくに写真も撮らずに動画配信しながら組み始めた。

 ハコを開けたらパーツがぐわんぐわんのバリだらけ。アレ/ヒケ/歪みのオンパレードゆえに、ちょいちょいと胴体を切り出して左右を合わせてみたら笑っちゃうくらい合わない。これはもう冒険に近いプラモです。説明書のイラストもポプテピピックみたいな世界観じゃないですか。タイヤのあちらとこちらがだまし絵の様になっていて、パースとは何か……と思わず悩んでしまう。でも文句を言わずにカッターナイフで組み立ての邪魔をしているところをバリバリと切り落としながら力ずくで接着していく。

 ザ・マミーが2体入り。このミイラのようなパーツはなんなのかと説明書を凝視したらなんと脚収納庫の扉だという。どういうことなの……。っていうかどこからどこまでがランナーでどこからどこまでがパーツで、なにが裏で何が表かも分からない。宇宙だ。調べてみたら中身はKPというメーカーの40年ほど前の金型だった。グッド……。

 だからと言ってこれがダメなキットとか、イマイチなところをねじ伏せて現代風にびしゃっと改造していこうなんて言い始めると大変。今ならMig-21のプラモはいくらでも選び放題。だからこそ、これはとにかく「そういう模型」としてそのまま食う。もらってから冷やしっぱなしだった桃を冷蔵庫から出してきて、可食部と「ここはちょっと傷んでますね」というところをよりわけて、おいしそうなところだけをジュルリと食べるようにね。

 配信中の勢いでガバっと貼ってから気持ちの良いブルーを調色して全体を塗ってみたら、その瞬間にウワッとシャープな凸モールドが浮き出てきた。何だキミ、すごくいいところもあるんじゃん!って思わず叫んでしまった。プラスチックが白だと、パーツを一瞥しただけではなかなかこういうところに気付けない。ゲレンデマジックがあるとしたら、これはその逆だ。

 でも、モールドがシャープなのと模型全体の佇まいがシャープなのは違う。だから、どれを組むのがオススメ!なんて話はいったん置いとこう。「パッと見の雰囲気と喋ってみたときのイメージが違う人」ってたまにいるけど、そういう感じ。プラモは組んでみて初めて「あらっ!」ということがあるからもったいつけずに組むイイというのを、何度目かわからんけど気付かされたっちゅうわけですよ。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。