ピックアップ・タミヤMMフィギュア! 極寒を経験したドイツ歩兵がカムバック!「ドイツ陸軍 冬季装備歩兵 進撃セット」。

▲「進撃」という割にはこ~っそりとしたポーズ……!

 1939年9月~1945年5月の間続いた第二次世界大戦では、都合6回の冬がきたということになります。その間ずっと戦い続けたドイツ軍ですが、’39~’40年の冬は特に大きな動きなし、’40~’41年の冬も大きな地上戦は北アフリカくらいと、最初の2回の冬は冬季装備の重要さを認識するタイミングがありませんでした。

 ところが状況が変わったのが’41~’42年の冬。’41年の6月に発動したバルバロッサ作戦によってソ連に攻め込んだドイツ軍ですが、その年の11月ごろから寒気が厳しくなり、初めてロシアの厳しい寒さに晒されます。悪路によって補給が滞り、まともな冬季装備なしでマイナス40度にも達するロシアの冬に放り込まれる……もう、考えたくもない状況ですね……。

▲今回のネタはこのフィギュアセット。全員モコモコに着込んでます

 というわけで、その翌シーズンである’42~’43年の冬は、ドイツ軍は前年に比べるとはるかに充実した冬季装備で戦いに臨みました。ちょうどその時期の装備を身につけたドイツ兵を題材にしたのが、タミヤの「ドイツ冬季装備歩兵 進撃セット」です。確かになんだか、ボックスアートでも全員分厚いコートを着ていますね。

▲中身はフィギュアと装備品に分かれた、タミヤのオーソドックスなランナー構成。安心感ある~

▲グリップ具合が目立つ拳銃と柄付き手榴弾が、手と一体になっているのがありがたい

▲ヘルメットは白いカバーがついたものもセット。シワの寄り方がひとつずつ違います

▲コートの中身は肉抜きに。部品はぴっちり合います

▲迫真の表情。寒いので顔の周りはトークという頭巾のようなもので覆っています

▲機銃は二種類入っております

 このキットが発売されたのは2002年。まだ現在のような3Dモデリングを使ったキットが多数発売される前なので、パーツの分割はトリッキーすぎない「頭、胴体、両腕、両足」というもの。彫刻もまだ90年代AFVブーム期の雰囲気で、ぶっちゃけこのくらいの感じのフィギュアが視覚的には一番しっくりくるという人も多いのではないでしょうか。とはいえ表情の再現などはさすがにMM。「これから接敵するぞ」という緊張感のある顔つきになっています。

▲「音を立てるなよ!」と注意してるっぽい人。分厚そうな手袋にも注目

▲ジリジリと前進する人。ヘルメットはカバー付きです

▲機関銃手。移動しながらでも撃てるようにドラムマガジンを装備しております

▲この人は短機関銃持ってるし、下士官でしょうか。

▲マップケースをぶら下げたチームリーダー。拳銃と手榴弾持ってるあたり、近接戦闘やる気満々ですね

 組み上がると歩兵が5人完成。この’42~’43年ごろのドイツ兵は、襟が大きくなった43年型のオーバーコートを支給されていました。その上から白いスノースモックを着用するというのも多く見られた組み合わせで、このキットでも2人がその装備になっています。これが翌年の’43~’44年の冬になるとリバーシブルの迷彩防寒服上下が支給されるので、見た目はより機能的な感じになります。ただ、ドイツ軍ではこの後もウールのオーバーコート自体は長く使われたため、このキットのような見た目の兵士は東部戦線なんかでは’43年以降もちょくちょく見かけます。

 このキットの服装以外の特徴が、この前方を警戒しながらジリジリと移動するポージング。MMのキット名の付け方として、わ~っと走りながら前進する「動」の移動シーンを切り取ったフィギュアを「突撃セット」、逆に前方を警戒しながらジリジリと前進する「静」の移動シーンのフィギュアを「進撃セット」と名付けがち(実際1975年の「ドイツ歩兵進撃セット」の兵士たちは戦車の砲塔など物陰に隠れながら前方を伺うようなポーズです)だと思うんですが、まさにそのイメージ通りのポーズ。ピリピリした雰囲気は、このキットの持ち味ではないでしょうか。

 というわけで、東部戦線を題材にしたジオラマに使うもよし、戦車の脇に添えるもよし、もちろんフィギュアとしてピンで仕上げても緊張感があるポーズで見栄えバツグンと、なかなかゴキゲンなフィギュアとなっております。だんだん涼しくなってきてオーバーコート姿の兵隊を見ても「暑苦しいな……」と思わなくなってきたこの時期、ちょっとチェックしてみると楽しいかもしれません。

しげる
しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。