ハイ・ファイな楽器のプラモはいかが? ミニアート 1/35 楽器セットが奏でるパワーを聴いた話。

 ブラジルのミュージシャン、イヴァン・リンス、77年の傑作アルバム『SOMOS TODOS IGUAIS NESTA NOITE』(邦題:今宵楽しく)。こちらに収録された、アルバムと同名曲のイントロは、哀愁を帯びた、まさにサウダージなフレーズで演奏されるアコーディオンの音色で、とても心地よいのです。そして、シンセサイザーでそんなアコーディオンの音色を真似して作り、弾いたりして遊ぶことも面白いです。音量の立ち上がりや減衰、倍音の構成、ゆらぎ……。模型ならぬ”模音”を作って、模して遊びます。模して遊ぶことで、その音に対する理解が深まり、より美しく感じられ、楽しみも増すのです。

▲さて、アコーディオンのプラモデルが入っているらしく、気になって買ったキットがこちら。

 ミニアート 1/35 楽器セットです。同じランナーが2枚入っています。

▲驚きました。超シャッキリした、ハイファイな造形じゃないですか!

 鍵盤、ジャバラ、グリルのメッシュ、しっかりとアコーディオンを”模したもの”として、確かな存在感があります。月並みな表現ですが、「ほんとに弾けそう」と思っちゃんだからしょうがない。

▲アコーディオンの鍵盤の反対側についているのがベースボタン。これもすごい解像感。スライド金型を使った本気(マジ)な造形です。

▲弦楽器の表現もすごい。弦は張ってなくても、弦がそこに見えるようです。

 バイオリンのなめらかな曲面とホールの表現も素晴らしい。ギターやマンドリンのペグもちゃんと再現されているし、バンジョーに至ってはフレットにポジションマークの点まで打ってありますよ!?見てるだけで楽しいです。

▲さて、パーツがちっちゃくて切り出しがちょっと大変でしたが、組み立てはサクっと終わります。

 アコーディオンやギターなどは、要はハコなので、パカっと重ね合わせて、流し込み接着剤をちょびっとだけツーっと流せばそれだけで完成します。

▲バイオリン、バンジョーに至っては、ニッパーで切り出してデザインナイフでバリを削っただけで完成してしまいますぞ。これぞファストモデリングの究極型のひとつ、といった趣。
▲逆に、苦戦したのはバスドラムとトランペット。パーツがほっそい!

 結構ポキポキいってしまい大変でしたが、粘度が高くて硬化まで時間のあるタミヤセメントを細いパーツの端につけながらピンセットで位置を調整して何とか事なきを得ました。ドンドンパフパフ!苦戦した分、デキがよくてですね、特にトランペットが今キットの一番のお気に入りになりました。今度、絶対に金色で塗ろう。

▲こんなにもちっちゃくて、しっかりした造形のアコースティック楽器群。指に乗せるだけで嬉しくなります。

 しかし、どうしてこういった楽器のチョイスになったかわからないのですが、なにやらケルト音楽っぽい品揃えのような気がしますね。ケルティック・パンクの雄、The Poguesのアルバムジャケットを再現するなら必須のキットでかも?

 さて、1/35ということなので、タミヤ1/35ミリタリーミニチュアなんかの情景や小物なんかにもバッチリ使えそうなキットです。「休息」とか、「武装解除」、といったキーワードであれば間違いなく主役となりますよね。楽器の模型は音を奏でることはできませんが、音楽が持っているパワー自体は”模する”ことができるんじゃないでしょうか。

▲俺の歌を聴けえええ!!~弾より愛を込めて~
ハイパーアジア
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。