「サメの歯マスタング」に添えられた、ちょっとうれしいプレゼント。

 先日プラモとか戦闘機にあまり詳しくない女子と話していたら、「この飛行機、歯がついてる!」というのにめちゃくちゃ反応していました。たしかに俺たちは戦闘機に歯がついていることをあんまり不思議に思ったことはないな……と、妙に嬉しくなったというか、とにかくもう知らない人は知らないし知ってる人は知ってる、ということがこの世にはたくさんあるよね。

 やおらマスタングを作りたくなって自宅の棚をゴソゴソやってたらボロンと出てきたのがタミヤのF-51D。もともとP-51Dという名前で第二次世界大戦を戦っておったわけですが、終戦後は頭文字をFに替えて朝鮮戦争なんかに駆り出されたわけでございます。1/48のキットを持っていたつもりだったんだけど、ハコ開けたら1/72だった。買ったことも忘れるくらいならすぐ作ろうね、オレ!

 ランナー1枚にマスタングのほとんどすべてがどちゃーっと入っているのがよろしい。これから発生する冒険が視界に全部収まるというのは、山登りの前に地図を広げてフムフムとルートを確認するときの全能感に似ています。いざ歩くと大変だったりするけれど、ヒトは旅行の直前にこそ旅行の全てを手中に収めているのだ……って三島由紀夫が言ってたような気がする。言ってないかもしれない。

 「キャノピー(窓ね)のカタチが生産工場によって微妙に違うんだぜ」みたいなことを選択させて教えてくれるのがこのキットのいいところ。「ダラスといえば……テキサスだなぁ、NFLならカウボーイズだな。肉食いたいな……」みたいなことを想起します。ダラスの位置をGoogle Mapで眺めたりして、模型のイメージが自分の知識と繋がることで広がっていくわけですね。全然関係ないけど、最近地球儀が欲しいんですよねオレ。地球儀って地球の模型だもんなぁ……すごいよ。

▲プロペラもハミルトンスタンダード製とエアロプロダクト製から選ぶことが出来ます。確かにカタチが違う!

 で、びっくらこいたのがこのランナー。透明のシャキッとしたスタンドが付いてるんですよ。これ、パッケージが違うけど中身がほとんど同じ先発アイテム「P-51D」の方には入ってないんですが、「F-51D」には入ってる。値段も同じなのに、こっちだけちょっとお得。

 言われてみれば胴体下側になんかポコっと凹んだところがあって、ここをカッターで切り取ればスタンドをハメ込む穴ができるようになってますね。いまのいままで知らんかった。あいにくこのキットは着陸脚を閉じた状態で組むのがちょっとむずかしい設計なのですが、そんなことはまあいいでしょう。銀色のマスタングに鮫の歯を貼って、透明なスタンドでピッと空に浮かぶ。ナイスなプレゼントじゃないですか。

 タミヤがどうしてこのキットにわざわざスタンドを付けたのかはわからないんですけど、P-51DとF-51Dがお店に並んで置いてあって、「どっちにしようかな〜」なんて悩んだ時、ただマーキングが違うだけじゃなくて、「F」のほうは飛ばしてディスプレイできるんですよ……なんてことを教えてくれる店員さんがいたら素敵だな〜と思った次第。知ってるようで知らないこと、全然ありますね、ということで皆さんもこういうの見つけたら投稿して教えてください。ではまた。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。