模型自身/僕が初めて飛行機プラモを完成させることができた話。

▲心に突き刺さる写真集と大傑作の飛行機プラモがセットになった特装版。これが僕と飛行機模型の物語の始まり

 幕末期以降の歴史が好きな理由の一つが「写真」です。これまで絵画や文章でヴィジュアルをイメージしていた時代から一気に「真」がやってきます。僕たちが楽しんでいるプラモのモチーフも数多く写真に収められ、それらをみながらさまざまな思いに浸ったり、製作の資料として使用されたりしていますよね。

 そんな写真集とプラモがセットになったのが今回ご紹介する「タミヤ 1/72 スケール限定シリーズ 日本海軍 三菱 零式艦上戦闘機 21型 特装版 闘う零戦」です。僕はこの本とプラモに出会わなかったら飛行機模型の世界に足を踏み入れていなかったと思います。それだけ僕にとっては衝撃的な出会いであり、初めて飛行機模型を組み、完成させることができた体験も得ることができました。

▲多くの人がイメージする「零戦と日本人による構図」

 闘う。とても強い言葉です。その名の通り、本書は太平洋戦争における零戦の闘う姿を時系列でまとめています。華々しい時代、拮抗、落日。この1冊で零戦のさまざまな姿があなたの頭の中に焼き付けられると思います。

▲零戦のメカニックに寄せた写真を多数掲載したパート

 歴史的なパートの他に後半は零戦という兵器を掘り下げます。このパートが個人的には心が震え、「僕は零戦を作りたい」と思わせてくれました。メカニック的な要素の解説だけでなく、零戦を「闘うもの」とする隊員たちの姿が数多く掲載されています。訓練中の笑顔、汗まみれになりながら整備するであろう姿、仲間と一緒にバレーボールをしながらチームワークを高める姿、散っていった仲間を送る部隊葬……あの時代の喜怒哀楽が「零戦」というフィルターを通して僕の中にインサートされました。零戦が纏う空気の正体に触れるのです。

▲nippperでも紹介したタミヤ 1/72 零式艦上戦闘機 二一型のキットが付属します

▲特装版に右側のスペシャルマーキングがセットされます

 写真集を見て心が震え、僕は特装版のキットの箱を開けました。その時の気持ちはアニメや漫画を見てプラモが作りたくなった時と同じような感覚です。僕が読んだ本のあの「零戦」がこの箱の中にいる……。パーツを見た瞬間に「知っている、闘える」となったもんです。零戦まみれの濃密な1冊を読んだのですから。

▲タミヤ 1/72 零戦プラモはどのタイプも超傑作! こちらの記事で全タイプご紹介しています

 そこからは聞き齧ったような飛行機模型製作の知識を総動員していざ実行! 「コクピット先に塗るんかよ!」「合わせ目消し怖い〜〜」「窓枠のマスキングとか、これみんなやってんの?すげ〜〜」「デカールむずい!」とか言って転びまくり。何度もミスをしたけど、写真集から得たパワーで挫けることはありませんでした。不安な工程も「とにかくやってみる!」「やる前から正解を求めに行かない」。自然と闘えていました。

 写真集の感動と、聞き齧ったふわふわ飛行機模型製作知識、そしてこれまでの模型体験をぶつけて零戦は無事完成。力技で完成させていったこの体験は、いまだに僕の飛行機プラモ製作のスタンスになっています。あんまり考えるより感じたこと、心が動いた時にが〜っと攻める思い切り。それで模型は楽しく完成するのです。闘う零戦が教えてくれたプラモスピリット。僕の中の宝物です。

 

▲初めて完成した飛行機模型の写真が残っていました(データがガビガビ)。まだ写真撮影についても何も知らなかった時です。自分で積極的に模型を撮影し出したのもこの零戦がきっかけかもしれません
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フミテシ

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。