観光船とお寺のマリアージュ/ワンパッケージで完結する「浅草観光のプラモデル」。

 超カッコいい水上バス、「ヒミコ」のプラモを組んだらオマケについてきたのが浅草寺のプラモである。フネのプラモを買ったら陸上にある建築物のプラモがオマケについてくるって、そんなんあります!?

 ……とはいえ、マジメに組もうとすると細かな塗り分け必至なため、カラースプレーで全体を適当にブワ〜ッと塗ってしまっても良いなと思ったけど、ここはあえてマジメに組んでみることに。

 説明書では屋根の色としてグレーという指示があったものの、あえて黒で塗装。ウェザリングカラーのマルチホワイトでフィルタリングして退色表現を施したところ、自分がイメージする神社仏閣の屋根の色にかなり近付いてくれた。

▲手前右側がタミヤアクリルカラーラバーブラックにマルチホワイトでフィルタリングを施した面。加えてランダムにベージュや茶を配置し、埃っぽい汚れを表現してみた。

 サイズが小さいので塗り分けは苦労が無いわけではない。しかし必要最低限のモールドは施されているので、そのモールドに沿って良い筆とシタデルカラーがあれば(そして人並みの根気さえ備わっていれば)塗り分けは可能!

 使用したのは「コラックスホワイト」と「アバンドンブラック」、そして下地が黒くてもその上からパキッと発色してくれるスーパーな赤色塗料「メフィストンレッド」だ。日本の主だった神社仏閣を塗り分けようと思ったとき、白、黒、赤の3色があればほとんど対応可能なのではないだろうか。木の地肌が見えているようなところがあれば茶を加えて、石材を表現したいときはグレーがあると良いだろう。

 ヒミコに浅草寺が付属している。隅田川は浅草寺のすぐ近くを流れているが、建物に遮られて浅草寺から隅田川を見ることはできない。そんなことはどうでも良いのだ。このキットは「浅草観光」という体験をワンパッケージに詰め込んだものなのだから。

 モチーフも縮尺も全く異なるこれら二つの要素が一枚の説明書に織り込まれている。しかも「オマケ」が付属していることは商品パッケージの命とも言える箱の正面を見ただけでは分からない。こうしたことが受け入れられ、許されているのがプラモの面白いところじゃないか、と思うとともに、そんな鷹揚さ・度量の大きさを備えたプラモデルという文化そのものが僕には大変美しいものに思えるのだ。

蒼人
蒼人

1989年生まれ。ゾイドとアメコミヒーロー映画が大好き。コロナ禍以前は毎週末映画館に行くのが楽しみでした。
ラジオっ子が高じてPodcastを始めました。