真夏の階段/ありそうでなかったプラモの可能性を引き出すのはキミだ!

 幅2.5mm刻み、グレーのプラスチックの板が届きました……。なんだこれ。

 じつはタイトルでオチているのですが、これはランナーのタグを見れば分かる通り「階段」でございます。と言っても現在これが単体で売られているわけではなくて、「駅舎」のキットの一部分なんですよね。

 鉄道模型の世界では紙と真鍮とプラスチックはどれも「加工しやすい板」としてわりと並列に捉えられています。どれも違う性質を持っていますし値段も異なりますが、鉄道車両や建物を自作したりキット化したりするときに使えるヤツだということ。駅舎のキットはホームと駅舎本体が紙なのですが、組み立てやすさと「もしかしたら他のことにも使ってもらえるかもしれないし」という期待からPLUM社長のツルの一声によってこの階段部分がプラスチックになったんだとか……。おもしろすぎる。

 手すりとか駅名標とかもプラパーツ化されていて、普通のニッパーで切り離してプラモ用接着材で組み立てることができます。組み立てると言っても、幅違いのプラスチックの板がズラズラとあるだけなので階段の形になるように積み上げて接着材で貼るだけ。「プラ板切ればいいじゃん」とか言わない。2.5mm刻みの板をキレイに切り出して階段のカタチにするの、絶対大変だもん。

 「正しく90度のスミを使って組むと楽ですよ」というPLUMスタッフさんの助言に従い、家にあった木箱のカドにパーツを寄せて積み上げ、流し込み接着材でちょいちょいと貼っていきます。案外おもろい。

 普通のプラモなら「ここがこう組み合わさりますよ」みたいなガイドがあるわけですが、これにはない。ただキレイに階段のカタチを作るという謎体験。これもプラモであり、これはプラモじゃないのかもしれない。でもプラモのカタチを取っているというのが面白い。

 できた。スケールは1/80相当(いわゆるHOの鉄道模型に合わせてある)で、板1枚の厚みは2mm。正直階段としてはこのカタチにしか組みようがないのですが、2mm厚、2.5mmピッチの幅違いのプラ板が大量に手に入るということを考えると、アイディア次第で面白い使い方ができるのではないでしょうか。

 手近にあった1/72の戦車の前に階段を置いてフィギュアを配置。博物館にやってきた女子高生二人とアニキが出現した様子です。こうして見ると戦車めっちゃデカイし、鉄道車両のドア位置って案外高いところにあるんですね……。

 「置くだけで情景になるもの」というのはわりと具体的なモチーフが多いのですが、「ただの階段」というのはありそうでなかった。組み立て方によっては『ラブライブ!』とか学校とか神社とか、景色の一角を切り出したような使用法もイケちゃう階段プラモ。いまのところ駅舎にしか同梱されていませんが、今後の出方が楽しみな珍味でございますよ。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。