時空を超えて結成されたベストナイン/アルデンヌの前線をプラモで突破せよ!

 いやはや、プラモの商品名に「前線突破」って書いてあるんですよ。Dragon Ashみたいで圧力があります。このパッケージを初めて見たのはいまから20年前。当時から「かっこいいな〜」とは思っていたんですが、ようやく買いましたよ。さて、問題です。このプラモには何人のフィギュアが入っているでしょうか。チクタクチクタク……戦車の手前に3人、砲塔の上に双眼鏡を構えているアニキがひとり。計4人かな〜……。

 いやいやいや、多くない!? 最終的に9人出てきましたよ。野球ができるよ(5人は地面に埋まっていますが……)。君たちがどこから来たのか、調べてみよう。

 最初のアニキがこの二人。1981年生まれ。タミヤ1/35MMシリーズ122番の「アメリカ M4A3 シャーマン戦車」に搭乗していた二人らしい。コマンダー(全身像)とドライバー(半身像)がセットになっていて、たしかに最近のフィギュアと比べるとちょっとのっぺりした造形だし、脚も短くて頭がやや大きい。でもごっついアメリカ戦車兵ですよという迫力がありますね。

 次に生まれたのがこのふたり。1995年発売のタミヤ1/35MMシリーズ190番、「アメリカ M4シャーマン戦車 初期型」に付属しているドライバーです。最高なのは、なんだかちょっとニヒルな笑いをたたえているところ。2枚のワクに同じパーツが付いているのですが(=双子)、ゴーグルをかけているかヘルメットに乗っけているかで各々の個性が出せるぜ、という仕様になっていたようです。

 コマンダーAとニヒルくんとまじめくん。下半身がないのは車体にズボッとハメることで顔だけ外に出ている状態を再現するためであり、土中に半身が埋まっている模型ではないから安心して。

 で、このふたりは2001年生まれ。おそらくこの「前線突破」のために新しく作られたパーツたちで、木箱とか弾薬箱の荷物をマシマシで載せられるようにしといたからね!自由に遊んでね!というランナーが2枚入っていて、双眼鏡を構えたコマンダーの膝から上だけが立体化されています。双眼鏡を構えたコマンダーはパッケージにも描いてありましたが、前線突破しているときにヌボーっとハッチから顔を出しているわけにはいきませんから、こうして頭だけ出して前方を窺うポーズが追加されたんでしょうね。

 双子が2セット。ザ・たっち&ザ・たっちでダブル幽体離脱ギャグができてしまいます。説明書には「※その他の人形はご自由にお使いください」と書いてあります。順列組み合わせでいろんな表情の取り合わせを楽しめるのがいい。そしてじつはこの車長は特定の人物をモチーフにしたとある情景を描いているのですが、それは説明書を読んで確かめてくれ……。カッコいいぜ……。

 さらに戦車兵ではなく戦車のパワーに援護されながら前線に突撃する歩兵も3人がセットされています。先述のコマンダーと同じく2001年に爆誕した彼らがこのキットのプレイバリューをむっちゃ高めて「前線突破」のタイトルを冠した所以!機甲部隊と歩兵が協調して激寒のアルデンヌ(ベルギー)で激闘を繰り広げた……というのを机の上に置くだけで楽しめちゃう。これをタミヤは「情景展開」と呼んでいます。

 ここで「ジオラマ」と書いちゃうと、どうしても土台を作って街を作って……とハードルがガシガシ上がってしまう。でも情景ってのは心の目でも見えますからね。ただフィギュアを組む。戦車を組む。そしてしかるべきポーズの人を然るべき位置に配置する。それだけで周囲がアルデンヌになる。これこそタミヤMMの真骨頂というわけです(パッケージの背景が白いのは、そこがアルデンヌでもキミの机の上でもあるからなんじゃよ……本当に?)。

▲戦車がなくたって、ちょっと遮蔽物があれば「おりゃー!」となります。

 コンパクトなハコから戦車と9人の屈強で表情豊かなアニキが出てくる「前線突破」のスーパーバリューセット。タミヤ1/35MMシリーズの歴代シャーマン戦車に付属したフィギュアたちが16年の時を超えてひとつのパッケージに集結し、チームとなって僕らを楽しませてくれるというのは、なかなか味な話だと思うんですよね。みんなも買って組んで、並べましょう。ぜひ!

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。