ジェントルマン、ビルド・ユア・エンジンズ!/タミヤのヨンパチファントム夜話

 ジェットエンジンってのはとんでもなく複雑で巨大な機構でさ、飛行機のプラモ作れば一発で理解できるけど、ものすごいスピードで飛びながら穴(=インテークだわな)に空気をバカスカ詰め込んで、さらにそれをタービンで圧縮して燃料と一緒に燃やして爆発的な出力を得るわけですよ。

 で、ジェット戦闘機ってのは武器をぶら下げるための胴体にジェットエンジンと燃料をくっつけて、人間は前の方の空いたスペースにちょこーんと座ってこれを必死に制御するという機械なんですよね。

 そんなジェットエンジンのなかでも「外側から見えている場所」はなんなのかというと、エンジンノズルですね。高温高圧のジェットがボーボー出る筒状の部分。当然熱に強くなきゃいけないし、ここを絞ったり開いたりすることで推力が変わるから、小さい金属板をいっぱい寄せ集めてグリグリ動かせるようになっているわけ。メカニカルなディテールがいっぱい集まってるし、金属が焼けて複雑な色になってるからプラモ的にも演出が効くポイントだ。

▲これはF-104のエンジンノズル。今回発売されたタミヤのF-4Bとだいたい同じエンジンで、ファントムには2発くっついている。

 こんな複雑なディテールはプラスチックパーツで再現しようとすると大変。めっちゃ細かくなったりめっちゃ薄くなったり、仮にそんなパーツを実物どおりにバラバラに再現しても、キレイに丸く組み立てるのはほとんど不可能って感じ。だからリアルにカタチを再現したい!という人は3Dプリンタで作ったパーツとかレジン(無発泡ウレタン)で職人が作ったスペシャルなパーツを買ってきたりすることが多い。

 タミヤの新しいファントムのプラモは、1周を6等分したパーツを貼ればかなり実物っぽくなるぜ、という設計で僕らを驚かせてくれます。「いやいや、こんなバラバラにしちゃって、組み立てるの難しいんでしょ!?」と思ったけど、組んでみたらアラ不思議。ビッシーッとキレイに丸く収まって、外側のディテールも内側の複雑なリンケージも超立体的に楽しめるというカラクリ。これを金属色に塗ってからヤイヤイ!と汚し塗装/焼け塗装をするだけでめっちゃカッコいいジェットエンジン(の後ろの端)が手に入るわけです。

 しかもファントムのエンジンって左右ですこーしだけこの筒がひしゃげていて(正確には外側に向かってちょっと歪んだ形状になっている)、本キットではユーザーがボーッとしながらノズルの板をペシペシ貼っていくだけでこのひしゃげ具合も完璧に再現されちゃうのです。

 「プラスチックモデルなんで、プラスチックでできることならウチがやっておきますよ。あ、もちろん誰にでも間違わずにビシッと組めるようにしておきましたから!」と言わんばかりのこのタミヤ製J-79エンジン。ここを組んで「いやー!そういうことだったんですね!」って言うだけでも最高に楽しいプラモなんで、とにかく組んだほうがいいわけよ。こういう褒めポイント、まだまだ無数にあるんですよね……まだ読みます?

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。