シャーマン戦車とリーバイス501。あなたが好きなものだからこそ楽しめるプラモの見え方。

▲アメリカが産んだ傑作戦車M4シャーマンやその仲間と、世界中で愛されるデニムの王道「リーバイス501」

 僕たちは知らず知らずのうちに自分の大好きなものとダブらせてモノを見ていると思います。僕がスケールモデルを始めたばかりの時もよく「ガンダムで言うとこれは何のモビルスーツにあたるんすか?」と先輩や知人に聞いてました。自分のフィールドに取り込んで、何かを一旦整理することで、「初めて知った戦車や飛行機」との距離を縮めることができました。

▲今では大好きなM4シャーマン。かわいいし、荷物をたくさん載せたりすると途端に情報量が増してかっこよくなるんだよな〜。この写真(タミヤ 1/48 M4A1シャーマン戦車)のように鋳造車体の丸っこいタイプが好きです

 戦車においてはアメリカのM4シャーマンがまさにそれで、ドイツ戦車の剛健さとはなんか違う魅力に最初は全く興味が持てませんでした。そしてすんごいバリエーションがあるし、似た様な姿をした違う戦車や車両までいる……どう見て良いかわからなかったんです。「工場が違う?」「作られた時期?」「鋳造車体に、イージエイトにファイアフライ?」……助けて。そしてタミヤのキットを作りながら説明書の解説を読んでいると「足元が異なる」という項目を見ました。「へ〜〜、ジーパンみたいじゃん」。ピロリン! つながりました。僕の中で。シャーマンが僕の好きなリーバイス501に見えてきたんです。どっちもアメリカ生まれだしね!

▲同じ501でも年代や生産地域によって材質や表記が変わるパッチ。どのモデルか見分けたりする目印にもなります
▲手前がシャーマン イージーエイトのパーツ。奥のM4A1のサスペンションの形状が異なっています。そして履帯の形状も違いますね
▲僕はこの足周りの違いをジーンズの裾を裏返した時の「赤耳」と呼ばれるものにトランスレーションしました

 セルビッチデニムと言われるものに見られる折り返すと赤い糸で縫われているあの「赤耳」。旧式力織機で織られた生地にあるもので、生産性を工場させた新式の織機にはこの「耳」の部分がありません。デニムを裏返すとこんな感じで違いが見えて、濃紺のデニムのアクセントにもなってかっこいいので人気です。501でもセルビッチのものとそうじゃないものがあります。これを僕はシャーマンの足元に置き換えて見ていました。

▲ポケットのタグはまさにシャーマンと同じくらい迷宮です

 M4A1、M4A3E8、M4初期型……など様々なバリエーションは、501に置き換えるとまさにこのポケットのレットタブ。「E」がでかいビッグEと「e」が小さいスモールe、さらに「®️」とだけの表記、ビッグEの両面タブ、両面タブ均等Vなど様々。特に1970年代前半以前はいろんな表記が入り乱れ。

▲アメリカから多数のシャーマンがイギリスに送られました。そしてイギリスで改造され、新たなバリエーションとして登場したのがファイアフライです
▲左がポーランド産の501。右がUSA産の501

リーバイス501は全てがアメリカ産ではありません。メキシコ、中国、日本、エジプト、ヨーロッパと様々な場所の工場で生産されてきました。生産地域によって形状や生地、糸の色も違うのがこのデニムの面白いところ。オリジナルとして渡った501がその国のトレンドや原材料の質の違いで異なったものになる。またヨーロッパデザインチームによってうまれた「リーバイス レッド」というものもあります。それなんてまさにシャーマンファイアフライですよね!

 こんな感じで自分の中にある好きなものって模型の見方にあなただけの見え方を送り出してくれると思います。好きなスポーツ、好きな本、好きなアイドル、好きな音楽やミュージシャン。そしてあなたの好きな模型。好きなものがそれぞれふわふわしている状態から模型と繋がると、あなただけの価値観が生まれもっとあなたの好きなものが楽しくなると思います。あなただけの見え方、必ずありますよ。

▲デニムってまじプラモだよね! リジットのパリッとしたやつから、ワンウォッシュ、ダメージモデルと同じモデルでも様々な姿に変わる。汚れも気にしなくて良いからプラモとの相性も抜群さ!
<a href="/author/fumiteshi/">フミテシ</a>
フミテシ

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。