「色彩学の講釈は聞き飽きたぜ」というアナタに贈る、超実践的プラモ塗装センス向上マガジン爆誕!

 単色塗装はむずいぞ。なにしろベタッと一色で塗るとなんだか情報量が足りなくてソワソワしてしまう。実物がベタッと一色でも、そこには汚れがあったり退色とかで微妙な色調のゆらぎがある。そもそも模型は小さいから光が全体にまんべんなく回り込むから陰影に乏しいし、視界に全体像がすっぽり収まってしまう(これもけっこう大事な模型の「弱点」なのだ)。

 なのでプラモを塗装するときにはいろんなテクニックが放り込まれることになる。汚し塗装や陰影を強調する手法、スケールエフェクトに空気遠近法……と枚挙にいとまがないのだが、これをバラバラに考えているとバイキングのお盆にどんどこどんどこ濃い味のものを載せていくような状態になり、最終的に「思ってたんと違う!」ということになりがちなんだよね。

 今月の『月刊アーマーモデリング』はここに色彩学の基礎講座とこれを応用した実践的なアプローチで単色塗装をうまく見せる方法を提案してくれている。色の基本としてまず色相と彩度と明度の話する模型誌は増えたけど、「それはわかったから、俺がいま塗りたい色ではその理屈がどう作用すんねん!」と思ったことはないだろうか。

 上の写真を見れば分かる通り、戦車モデラーなら馴染み深い色を例に出して、色相や彩度や明度がシフトすると何が起きるのか、実際の色の調子とは別に、人間の知覚上どういう効果が発生するのか……というの具体例を出してくれる。これはマジでありがたすぎる。

 さらに踏み込んで、ものの大きさや隣り合う色どうしの引き起こす効果などにも言及しちゃう。この辺になってくるとかなりハードコアで、模型に活かすにはかなりのテクが必要だね。でも「そうなんだ〜」レベルでも、このへんの知識を持っているかいないかで、自分の模型がちぐはぐに見えてしまった時のフィードバックが変わってくる。ただ茶色を塗るにしても、どんな茶色にするのか、ホンモノと同じ茶色なのか、ただ明るくすりゃいいのか、隣にどんな色を置くとヤバいのか、安全なのか……。そもそも、茶色に見えるってどういうことだ……?

 で、読み進めていくと実際に凄テクモデラーたちが普段からやっている「ホンモノの色をそのまま塗るんじゃなくて、こういうふうにズラしておくと最後に着地がきれいになるよ」という作例がバンバン出てくる(具体的な作例はどこを撮ってもヒントになってしまうので実際に誌面で確かめて!)。

 しかし、「そんなん考えたくないわ」という人のためのスーパーズボラレシピもちゃーんと掲載されている。このへんの振れ幅がマックスで、どんな読者が読んでも食べられる部分が必ずあるのがエラい。何より素晴らしいのは「狙っている色に見えれば、塗料瓶やスプレー缶に書いてある色名なんて関係ないんじゃ」ということが明確にわかること。白はホントに白で塗る?黒はホントに黒で塗る?こんな色がどうして最後にオリーブドラブに見えるようになるんだ?というのが実践、実践、実践で来るのは脳とフィジカル両方使うID野球だ。

 もちろん、ただ塗るだけじゃない。下地の作り方によっても重ねる色は変わるし、上からかぶせるフィルタリングでも変わる。バイキングのお盆にどんな料理を載せていくとバランス良い食事になるのか、メインの料理がこれなら副菜はこれにすると味がまとまるぜ!というアドバイスがちゃーんとされている。

 汚し塗装すると模型がどんどん暗くなってしまうそこのキミ!なんでそうなるのか、それを回避するにはどうすればいいのかも全部書いてある。単色を制するものは複数色の迷彩も制するし他のジャンルの模型も制しちゃう。ということで戦車モデラー以外もマストバイの素晴らしい巻頭特集、完全にオススメです。みなさんも、ぜひ。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。