歯ごたえのある秩序/アオシマ 73式特大型セミトレーラー

 いまから20年以上前、『月刊モデルグラフィックス』にドラゴンワゴンという米軍のトレーラー(タミヤ製1/35スケール)に、ほぼ同タイミングで発売されたパーフェクトガンダム(こちらは1/60スケール)を載せた写真がドカンと載っているのを見て、目玉が飛び出た。どちらのキットも素晴らしい完成度であることを述べたコラムに添えられていたその写真は、白黒でありながらとんでもないインパクトを自分の脳裏に残した(しかもどっちも組んだだけの「刺し身」状態だった気がする)。

 完成見本の写真を見て珍しくノータイムで予約した「HG 1/144 RX-78-02 ガンダム ロールアウトカラー(GUNDAM THE ORIGIN版)」を組んでいたら、ロールアウト(運用開始)の瞬間をどうしても演出したくなった。SFチックなトレーラーはあいにくイメージどおりのものがなくて、現実に存在するトレーラーのプラモを買うことにした。

 アオシマは1/72で自衛隊車両や働く自動車のプラモデルをたくさん製品化している。手頃なサイズだけどアオシマ一流の取材力と緻密な設計で、凝縮感のある造形が楽しめるのが好きだ。プラスチックもオリーブドラブ色で、組み立ててズラズラ並べるだけでも自衛隊の駐屯地みたいな風情が出る。

 タイヤだけ黒く塗って、無心にパーツを切っては貼る。ときには指先サイズの小さなパーツもあって、それらがどんなふうに収まるのかが一発では判然としないところもある。しかし、何度か仮組み(接着せずに組み合わせを確かめること)を繰り返すと、ピタッと収まる位置があることに気づいて嬉しくなる。

 正直、サイズからイメージするより細密なパーツ分割だし、3軸をピタッと接地させるのはちょっとむずかしい。歯ごたえがある、というやつだ。だけど、説明書の最初のページにはすべてのパーツについて実物では機能を持っているのかという一覧表もあって、ごちゃごちゃとした駆動系を組んでいても不思議とストレスはない。組んでいるものに秩序があって、最後に必ず形になってくれるという絶対的な信頼感がアオシマの1/72モデルにはある。

 とくにキャビンのクリアーパーツの精度は感動的で、ガラス面を汚さないようにしっかりと設けられたノリシロの助けを借りながらパチリと透明な窓がハマると「うわ、俺ってば模型ウマくなったな」なんて錯覚するくらいの気持ち良さ。

 いよいよ完成してトラクター(前方のトラック)とトレーラー(後方の荷台)が合体すると、それなりの大きさになる。1/35スケールだったらまあまあとんでもないサイズになるが、1/72なので戦車を乗せたり周辺の小型車両を並べたりするおままごとライクな遊び方によって「単品の模型」というよりも「自衛隊というシステム」を味わえるのもこのサスケールのいいところだ。

 荷台のサイズがガンダムにマッチするかどうかちょっと心配だったけど、いざ載せてみたら笑ってしまうくらいナイスな対比になった。トレーラーとガンダムのスケールは倍も違うけど、ふたつのメカをこうして見比べるといろいろ楽しい。73式特大型セミトレーラーの最大積載重量40トンに対して、ガンダムの設定重量は43.4トン。ガンダム、めっちゃでかいし、軽いな。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。