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デコトラのプラモを組んで、手紙を書いて。/アオシマ 暗黒将軍

▲とにかく名前の圧が強い……「暗黒将軍」って!

 模型店の棚で何かおもしろいものはないかと視線を泳がせていると「暗黒将軍」という文字列に引っかかる。あれ?ここは車プラモの棚だぞ。間違って武者ガンダムか何かが混ざってしまったのかな?と手に取ってみたらデコトラだった。

「デコトラの名称は、プラモデル・玩具メーカーの青島文化教材社(以下『アオシマ』)がトラックのプラモデルを商品化する際に、1976年(昭和51年)に作った造語『デコトラ爆走野郎』の『デコトラ』の部分が一般名詞化したものとされている。模型・おもちゃなどの分野では、現在もアオシマが『デコトラ』の商標を保持している。」(Wikipediaより)

 え?そもそも「デコトラ」って言葉自体がアオシマの商標から始まったの? 俄然興味が湧いてきた。名前が強そうだからという理由で暗黒将軍を手にレジに向かっていた……。

▲白/赤/グレーに透明窓、ゴムタイヤの黒、クリヤーカラー3種に銀メッキの合計9色(!)からなる部品群。

 箱を開ければ豪華絢爛なメッキパーツが目を引く。タイヤはちゃんとゴム製でデコトラの華となるデコレーションランプの部品は3色のクリヤーパーツが奢られている。子供の頃なら反射的に「スゲー!」って言っちゃうタイプのランナーだ。
 アレ? でも、何だろうこの感じ。以前どこかで……ウッ、頭が……。
 僕は昔デコトラのプラモに触れている。こういう「メッキが豪華なデコトラ」を組んで挫折している。夏祭り、くじで当たったにしては上出来過ぎるプラモ。くっつかないメッキパーツ。トラックの形にならないまま閉じる箱。「接着面はメッキを剥がしましょう」とか知らなかったから……。でも、知識を得た今ならば!

  最初にタイヤ。メッキの眩しいホイールの中にポリキャップを仕込み、ゴム製のタイヤをはめ込む。二重に並んだ後輪がトラックの模型なんだと主張してくる。この工程は接着もなく、勘合もスムーズでなんだかリベンジを果たせそうな気がしてきた。

 キャビンの組み立てはプラの断面を突き合わせて接着する。ヤスリを充ててメッキを削ったプラ地同士を接着する。あの頃はこれだけのことができなかった……。今ならできる!僕にもできるぞ!!

▲メッキパーツに彫られたヘッドライトやテールライトはマッキーで着色した。旅はまだ終わらない。
▲メッキの切り跡はガンプラマーカーのメッキシルバーでリタッチ。白い部品に彫刻されたライトやワイパーもコレで塗っている。
▲メッキ部品の表面にパーツを貼る。「セメダインハイグレード模型用」で貼れる。

 冠(?)周りは「メッキパーツの表面にパーツを貼る」作業が結構多い。しかも、アタリとなるピン等は一切ない。箱画を見ながら貼る位置も自分で決めていく。だってもう大人なのだから……。

 沢山ついてくるシールも、デコトラじゃないと見られない文字列のオンパレード。メッキと成型色だけではちょっと玩具っぽいとさえ感じていた姿がどんどん引き締まっていく。

 これぞ「デコ」だ!並べるのはラインストーンじゃなくて切り出したクリアーパーツ。「ここがデコトラのデコたる所以!」とでも言わんばかりに別パーツ化されたマーカーランプを貼りこむ。

 なんと、トレーラーに積みこむ車両までついてくる。あくまでオマケとして記号的に表現されたスポーツカーは上下抜きで窓はくりぬかれた状態で表現されている(ガラスの透明パーツは付かない)。

▲組みあがるとかなりゴージャス!隣には同社の同スケールの軽トラを比較に置いてみた。

 結局土曜日曜に2時間ずつ、翌土曜日に2時間ちょっと向かい合い、合計6時間程で完成した。実際に手を動かしている時間よりも「メッキのどの部分を剥がして貼ろう」とか、以前挫折した部分にどう対処するかを考えている時間の方が長かった気がする。「サクサク組めて快適!」というのとは違うタイプの面白さだけど、なかなかの達成感を味わえる(ウレシイ)。

 ……と、確かに面白かったんだけど、「どんどんおかわりしよう!」とまでは思わない。もっと快適な組み味だったらいいのにと思う。だから手紙を書こう。説明書の最後のページ「暗黒将軍に関するアンケート」に想いをしたためて封書で送ろう。組んで完成させた僕には十分すぎるほどその資格があるハズだから。
 もっと快適に組める、もっとゴージャスな、新しい暗黒将軍が欲しい。そんな想いがどうか届きますように……。

HIROFUMIXのプロフィール

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

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