窓があるから嬉しいけれど、窓があるから作れない。そんな貴方のためのプラモデル。

 これはハインド!このもっさりした芋虫みたいなヘリコプターがかっこよく見えてくると、人生がバラ色になってきます。プラモ作ってると世の中のいろんなものがかっこよくなってくるのですごい。だって俺も一回組み立てたことあるんだぜ、ってなればどんなメカもマブダチってもんです。ちなみにこのヘリコプターは傑作機なので世界中のいろんなプラモメーカーが製品化してる。国産メーカーのもあるし、本家ロシアのズベズダ製(超傑作)とかがあるから一度は組むべし!

 さて、これはGale Force nineという会社が展開している戦車を使ったミニチュアゲーム『TANKS』の拡張ユニットであるところのハインド。アメリカのコンベンションをプラプラしていたら一目惚れして買ってしまった。なんとも言えないどんよりとしたプラスチックの色がいい。ランナーはたったの2枚。スケールは1/100くらいかなぁ。透明なブリスターに入っていて、棚に吊るしてある時点で「速攻で組めそう」というオーラを放ってるし、何より似てる。しかもまあまあ安かった。

 ちなみにランナーにパーツがくっついていて、自分で組まなければいけないというものはプラモにしか見えませんので「ゲームのコマでしょ」とか先入観丸出しで話をするのはもったいない。プラモをゲームに使うか、ゲームに使うコマをプラモとして楽しむか。これは個人の認識の問題であって、モノ自体が規定するもんではないと思うのよね。

 ハインドの特徴である5翅のローターは3枚が基部と一体、2枚はランナーに収まらなかったから自分で貼ろうね、というマッチョ主義。いいんだよこれで。のりしろはちゃんとあるから心配しないように。画面左には左右の着陸脚が一体となったパーツが見えるでしょ。いいよねこういう追い抜きレーンみたいなパーツ。じわじわ組んで精密感をとるか、ガバっとできてシルエットを取るか。模型はいつだってこういう選択肢で溢れていてほしい。

 で、オレ的にこのキットの最高ポイントは「ガラスも本体と同じ色」であること。飛行機とかヘリコプターは窓がないと操縦できない。「窓ガラスは胴体を塗ったあとでくっつけるの?それとも先に貼ってマスキングしてから塗るの?っていうか飛行機なんで窓あるの?窓なければさーっと形にして塗れるじゃん。ああでも今日はどっちもめんどくさいから今は作らなくていいか!」というのは全人類が思っている。

 窓のない飛行機は飛べないし、窓が透明だからプラモは嬉しい。しかし窓があるから足がすくんで作れないということもある。そしてこのプラモは窓がそもそも最初から不透明なのであれこれ思い悩まずにとりあえずバーっと組んでから、気が向いたときに窓に見えるように塗ればよい(っていうかそうするしかない)、という模型なのだ。そのことをみんなに伝えたくて今日の今日まで作っていなかった。本末転倒ここに極まれり。ようやくこうして紹介できたから来月くらいにさらっと組んでみよう。

 すべてがソリッドカラーだけど、とりあえず形を作ってくれ。窓やらなんやら、めんどくさいもんは塗装のセンスでどうにかすればいいんじゃよ、という説明書。マンガみたいに青のグラデーションで塗るのもいいし、ツヤ有りのブラックで妖しくぬらりと輝いているのもいい。いや、そもそも塗装の指示がない。けど、アメリカの兄貴達は当然塗ってでっかいテーブルの上に並べ、サイコロを振りながら「Wow!」と遊んでいた。すげー楽しそうだった。

 楽しんだやつが、勝つ。そんなプラモがいっぱいあるといいよねえ。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。