ザクまみれの『モデルグラフィックス最新号』で両津勘吉の境地に至る!

 よくインターネットで見かける『こち亀』のコラ画像に「全部同じじゃないですか!」と中川が戸惑うストーリーがありますが、ザクというのはガンダムと違って明確に量産機です。いろんなバリエーションもいるし、プラモもリニューアルされまくってるのでこの世には数え切れないくらいのザク像があり、みんな思い思いのザクを作っています。ホビージャパンが開催している恒例のガンプラコンテストのタイトルが「オラがザクは世界一!!」なのも、その前身となった連載がザクというアイコンを通してさまざまなガンプラの可能性を追いかけるものだったからです。

 今月のモデルグラフィックスは1/144スケールでザクのさまざまな作例を取り揃え、その合間合間にこれまで発売されたザクのプラモデルの形状(と、それがなぜ選択されたのか)について徹底的に比較検討し、リファレンス化しています。正直、ザクを切り口とした特集は過去のホビー誌でも見られましたが、ここまで網羅的で微に入り細を穿つようなボリュームでザクのプラモを比較/分類したものは他に類がないと思います。

 こんなキットもありましたね〜なんて引いて考えるより、「俺ってザクのどこが好きなんだっけ?」というのを明確にしながら、それぞれの部位の形状の特徴やそれを備えたキットを見比べつつ、「自分の思うザク像」を導き出すのが本書の楽しみ方でありましょう。もちろん「俺このザクが一番共感できるな!」というのを見つけてストレートに組むのもまたよし。

 新キット、旧キット、そのいいとこどり、旧ザクやMSVについても言及は抜かりなく、じっくり読んでいると東京発の新幹線が新大阪に着いてしまうほどの文章量はまさしく専門誌の面目躍如と言った印象。決してカタログ的になるのではなく、それぞれの形状をどう見るべきなのか(これ、案外言われないとわからないことだったりします)をじっくりと一緒に考えてくれる特集は楽しいですね。

 古参ガンダムファンだとイマイチ把握しきれていない可能性のある『MSD』の展開もビシッと押さえ、ザクについてモデラー同士で語るならば必須の資料集的な存在となっております。

 個人的には1/24ランサーターボ(nunu製とハセガワ製)の作り比べが巻頭特集と対比的でとっても面白い。「1m離れたらどっちがどっちだかわからないもの」を同じメーカーが40年作り続けていることもなかなかに異様なことですし、「ホンモノ」がある自動車の模型をふたつのメーカーが製品化すると、出来上がっていく工程にその大きな違いが内包される……。つくづく、プラモって妙な趣味だなぁと思うのでした。読みましょう。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。