内藤あんもの「棚からひとつかみ」/赤い大地の力持ち

▲パッケージは1/35キットの完成品じゃないか!というツッコミはやめよう

 以前ミニアートのトラクターを紹介しましたが、今回もトラクターです。ただ、今回はガッツリ軍用といえば軍用、ソヴィエト軍のスターネッツS-65トラクターの出番です。

 軍用トラクターってどんなお仕事があるんだろうかという疑問もあります。所謂キャタピラ駆動であるクローラートラクターは低速だけど力持ち、さらにその力強い足回りで悪路が続く戦場では重い大砲を引っ張ったり泥に足を取られた戦車を引っ張り上げたりとまさしく「縁の下の力持ち」というふたつ名がピッタリな連中。連中、と書きましたがソヴィエト軍はこのテのトラクターを多用しており、大小様々なタイプのものを重砲を牽引する砲兵トラクターとして採用しておりました。

 このS-65は元々民間用としてアメリカホルト社(今のキャタピラー社)から輸入したトラクターをベースとしており、この頃のトラクターのデザインはどの国でも大体似てる気がするんです。まあ、真似たとかじゃなくて優れたデザインだったってことでしょうね。

▲キットの中身、、1/72とはいえパーツが少なすぎやしないか…?

 さて、キットは中国模型メーカーの雄、トランペッター製。トランペッターというメーカーは成長著しい中国模型業界の中でもキットの開発スピードやジャンルの広さから我々スケールモデラーからすればとーーーってもありがたいメーカー。略してトラペとかラッパと呼ばれておりますね。自国製軍用車両や戦闘機、軍艦なども積極的に開発しており、新製品紹介に上がってきた段階で初めて知る謎の中国軍兵器…なんてことも多々。

 しかもメインとなる戦車とかだけじゃなくこういうトラクターとか、地味なアイテムもちゃんと出してくれるのです。この車輛も1/35と1/72が出ているというね!ありがたいね!謝々。

▲トラペのなにがやばいかというとこういうところだ
▲ルーペ必須。

 箱のなかのパーツの少なさはこういう事だぞー!というメーカーからの答えがどーんと突き付けられます。これでもかというパーツの一体化……。キャビンとかエンジンルームがまるっと一体成型で抜かれており、「金型どうなってんだこれ」ってなります。マジで。1/35の同車輛を作った事あるんですが、そちらはスケールに合わせた粉々設計で組み立てには多大な努力が必要でしたが(オブラート)、今回は組み立てるだけなら30分コースです。パチパチ組めます。履帯の接地面にパーティングラインが走ってるのでそれの処理がちょっと面倒なだけだったかなー。

 いやね、最初金型の荒れかバリだと思ったんですよ。よく見たら何か浮彫されてる!キリル文字だから読めないけど!にこにこしながら晩酌できますわコレ。いや休日昼間のビールでもいいですけど!

▲ミニスケとはいえ堂々たるモノ。

 ここまで一体化を進めておきながら前後のライトは別パーツで接着面が極小だったりするあたりのギャップも面白いですが、それでも「組みやすくする」企業努力がチラリチラリと見えてくる楽しいキットです。以前もnippperでホビーボスのメルカバが紹介されたりしていましたが、ここらの中華製メーカーのミニスケはやたらパーツ構成が凝っていて面白いですよー。値段もそこまで高くないので模型屋で見かけたら手に取ってみては!?

内藤あんも
内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。