内藤あんもの「棚からひとつかみ」/言ってしまえば農機具。

 「1/35スケール」というとやっぱり戦車模型のイメージが強い。もともと戦車模型も飛行機模型などでもお馴染みの1/32スケールで展開されていたんですが、タミヤが発売したリモコンタンクシリーズが内蔵する電池のサイズからこの1/35スケールになったというのは有名な話。とはいえ戦車だけではなく、ジープやトラックなどの所謂「ソフトスキン」と呼ばれるクルマ(=装甲車輌ではないもの)もこのスケールでプラモデル化されています。フツーの乗用車もなかにはラインナップされていたりしますが、どことなくそれらは「ミリタリーモデル」の雰囲気を纏っていて、戦車模型とは切っても切れない感じがします。

▲ミニチュアシリーズ??

 さて今回ひとつかみしたのはミニアートのキット。ミニアートと言えばウクライナからやってきた超絶精密プラモデルを出しているメーカーです(このコーナー、ウクライナメーカーが多いな……)。最初はフィギュア中心だったんですが、ロシア製車輛を中心に徐々に戦車模型へ進出し、今ではフルインテリアモデルを矢継ぎ早に出す戦車模型業界の牽引役として有名です。

 そんな中、リリースの段階からワクワクしていたのがこのトラクター「German Tractor D8506」。今回はMod.1937という事でゴムタイヤを履いた姿のものを準備。勿論この時代の車輛ですので軍用としても使われていましたが、今回のトラクターはそのシリーズ名からしても分かるように「民間のトラクター」として発売されてるんですよ!1/35なのに!

▲箱のサイズからすると若干スカスカ気味で肩透かしを食らうかも。

 このトラクター、実車はランツブルドッグといいましてドイツのランツ社が開発していたトラクターなんです。このデザインで第二次世界大戦をまたぐ40年間近く生産されていたという車種。デザインも独特で実車もかなり人気があるとかなんとか。以前はガレージキット(少量生産のレジンキャスト製モデル)などでも出ていましたが、1/35で尚且つプラスチックキットとして発売されたわけです。やったね!

▲パッキパキのディテール。スライド金型も駆使してます。
▲タイヤもプラパーツだぜ…?!
▲うおお、組み合わせたら超リアルなパターンに!

 はいここ来ましたよ!美味しいポイント!トラクターらしいゴツめの後輪には大きなブロックパターンが。これを再現するために後輪は三枚おろしとなっております。というか前輪なんか5枚おろしなんですけどね……うまく撮影できなかったんです。プラモデルとなると軟質樹脂パーツ(複雑なトレッドパターンでも金型から取り外すことができ、完成後もちょっと柔らかい感触がうれしい)に頼りがちなパーツですが、ミニアートは敢えて硬いプラパーツのドーナツを組み合わせる事でゴツゴツっとしたトレッドパターンを再現しているのです。このタイヤパーツを眺めながらニコニコで晩酌がイケます。

▲小柄ながら存在感溢れるヤツだ。

 パーツはなかなかどうして細かく、ミニアートあるあるな鬼ゲート仕様(パーツより太いゲートとか、ひとつのパーツにやたらめったらゲートがついているやつ)なので、組み立てというよりもパーツの切り離しに少々コツが必要ですが、半日あれば組みあがりました。細いロッド状のパーツはさっさと折れたので真鍮線に置き換えたりしてますけど!(満面の笑顔)

 「1/35といえば戦車模型」というイメージが強いというのは冒頭でも触れましたが、ミニアートはこのスケールで路面電車や一般市民、1930年代の乗用車など、「戦車を中心とした情景にも流用が効くけど、基本は民間車輛などのプラモデル」というシリーズを展開しております。今回のランツブルドッグもそれの一環なんですねー。すでに車輪違いなどでバリエーションも展開されているし、使わないクリアパーツに意味深なパーツがついてたりとまだまだバリエーションが期待できるやつ。1/35の民間車輛はハセガワからも働くクルマが出てたりするので作り比べも楽しいかもですな!さて何色で塗ろうかなー。

内藤あんも
内藤あんも

1977年生まれ。戦車道とスピットファイア道を行き来する模型戦士。生まれ育ちは美濃の国、今はナニワ帝国の片隅でプラモデルを作る日々でございます。