水性塗料のスーパースター、シタデルカラーでモビルスーツを筆塗りじゃ!

 シタデルカラー、いろんなところで評判は見かけるけど「フツーのプラモでどう使うのか」は調べてもあんまり出てきません。多分塗るのが楽しすぎるし乾燥するのも早いので作業がガンガン進んでしまうのが問題(写真撮って文章書いて……というワンクッションを置き去りにするスピード感!)。

 12色入ってプラモとハウトゥが書かれたブックレットまでくっついてくるお得セット(内容物は昨日の記事を見てくれ!)を実際に使って、いわゆるガンプラ的なものに色を塗るとどうなるのかやってみましょう。

 ガンダムアーティファクトは6cmくらいのサイズにギューッとディテールが凝縮されているし、プラスチックが1色なので塗り塗りして遊ぶには最適。再販が決まったので(初販はけっこう瞬殺でしたね!)予約しておきましょう。楽しいぞ。

 ちなみにアーティファクトの素材はABS。溶剤には結構弱い素材なので溶剤系の塗料でネチネチ塗るのはあまり推奨できないのと、そのままだとテカテカしていて水性塗料の色乗りは悪いので、黒いサーフェイサー(下地塗料)を吹いておきます。少し艶が落ちて真っ黒になるため、塗料の食いつきがめっちゃ良くなる&塗り残しがよく見えるようになり、影は影として放置できるのでいいことづくめですわよ(缶スプレーを吹くのがちょっとしんどい、という人はちょっと時間がかかるけど瓶入りサーフェイサーの筆塗りでも大丈夫!)。

 まずは基本塗装。隠蔽力の高い「ベース」が3本入っていますので、今回はデスガードグリーンというのを全体に塗っていきます。好きな色があるからといって「レイヤー」からチョイスすると全然隠蔽力がないので注意。とにかく一層目はベース。ブックレットにも順番が書いてあるので読んでみて!

 デスガードグリーン、ベースの中でもやや隠蔽力が弱いので、全体に薄く伸ばすように塗ってから数分乾燥させ、ツヤが消えたところからムラがなくなるよう重ね塗りするのが良さそう。3周くらいすれば比較的キレイな肌になります。多少の塗り残しや筆が届かないところはシカトでOK!ここからたくさんの色が乗っかっていい感じになります。

 ブックレットに書いてあるとおり、こんどは「シェイド」というシャバシャバの薄口醤油みたいなのを塗っていきます。アグラックスアースシェイドは焦げ茶っぽい見た目で、これを筆で全体に薄く伸ばしていきます。乾燥には少々時間がかかりますが、私は全体をまるっと塗ったらまろやかな温風の出てくるセラミックファンヒーターの前に置いて(溶けるほどの温度にしたらあかんぞ!)コーヒーで一服。15分もあればしっかり乾いてつや消しになります。

 全体に茶色いトーンになり(この効果をフィルタリングと言ったりします)、凹んだところや段差のあるところにシェイドが溜まってディテールがよく見えるようになりました。こうやって立体の陰影が強調された状態で、こんどは明るい色を乗せていく、というのがシタデルカラー各色の設計になっています。

 全体にシェイドをかけると影にしたくない面の部分も色が落ち着きすぎるので、暗くなってほしい隅っこを避けて最初に塗ったデスガードグリーンをもう一度塗ります……と説明書には書いてありますが、めんどくさいので毛足の短い筆にデスガードグリーンをほんの少しだけ取ってからコピー用紙の裏にこすりつけて、筆に残った塗料でもって、表面を軽くザザザーっと撫でます。これによって、全体に3段階の陰影が付いた状態になります。影になって欲しいところが明るくなっちゃっても、もう一回シェイドを塗れば暗くなるから怖がらずにやってみてちょ。

 次は「レイヤー」という明るめの色で一番明るいところを描いていきます。塗った瞬間は「え!明るすぎない!?」と思うかもしれませんが、隠蔽力が低いので乾燥すると案外下地と馴染みます。パーツのエッジや段差を狙って筆の腹や穂先で塗っていくといいぞ……という写真を撮ったあとで、まためんどくさくなって全体をザザザっと撫でてカドと面に塗料が乗っかるようにしました。

 最初に塗ったデスガードグリーンの上に乗っかるといい感じに陰影が強調されるよう調合されているのがこのナーグリンググリーンというレイヤーカラー。ただ白を混ぜて明るくしているのではなく、黄色みも調整されているのがミソ。これを自分のセンスで調色するのは結構難しいんだよな。

 ここからは楽しい楽しい細部塗り分けタイム!ベースがしっかり塗られているので、あとはセットのなかから好きな色をチョイスしてメカ部分やこまかいディテール、各所にあるノズルなどをお好みで塗り分けていきます。明るいトーンやメタリックカラーがワンポイントで入ることで、質感の違い、差し色的な効果で全体の精密感がギュギュギュと上がります!

 金銀でメカ部分を塗ったり、ラケルスフレッシュ(象牙より少し濃い感じのベージュ)を白の代わりに入れたりしてフィニッシュ。ビームライフルにはシェイドをかけたり、最後はバイブスで遊んでみましょう。あ、はみ出した!って思っても元の色でタッチアップすればキレイな境界が戻ってきます。とにかく神経質にならず、どしどし塗って行ったり来たりしているうちにどんどんかっこよくなっていきますよ!

 こういう小さい造形って、シタデルカラーに出会うまでは「どうやって塗っているんだろう」と本当に不思議でした。上手い人はエナメル系塗料やラッカー系塗料でもうまくコントロールして塗りますが、使わなくなったマグカップに水だけ用意して、筆とシタデルカラーだけあれば陰影のあるヨーロピアンな雰囲気のプラモになる、というのがシタデルカラーの楽しい&便利なところ。しかもここで使った塗料が一箱にまとまって3割引くらいの値段になっているのが最高じゃないっすか。

 で、このセットに入っているカラーだとこんな仕上がりになりますが、ほかにも赤系、青系のセットなど用意されていますので、「まずはひとつのパターンを習得してみよっかな」くらいの気持ちでトライ!自分で選んでカゴに放り込んでいくとけっこうな値段にびっくりするシタデルカラーでも、ペイントセットはお得な価格設定になっているし、最適な仕上がりになる組み合わせもあらかじめ達人が考えてくれたものになっています。ぜひぜひ、このドライブ感と「自分の実力以上のことが起きるな!?」というニヤニヤ感を味わってみてください。やっぱりすごいよ、シタデルカラー。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。