
本を結構買うのだけど、学生時代にはなんとなく「装丁家」になりたかった。鈴木成一さんとか、テレビで見るとかっこよくて。あとは大好きな寄藤文平さんも装丁を手掛けることが多いデザイナー。装丁っていい。装丁っていうのは本の表紙だとかカバー、扉という本の外周りをデザインすることを指す言葉です。本の見た目を決める人、みたいな感じで認識しておいて構わないかも。
そんな「装丁」ですが、装丁画と呼ばれる表紙の絵は本の中身を示唆するテイストで仕上がっているのでいろいろな思いが込められています。串田孫一の「若き日の山」も良い感じです。山々が少年が書いたような柔らかなタッチで描かれているのでまさに「若き日の山」という感じ。色はグレー系なので冬の山々の話が多いのかな。それとも標高の高い岩がごつごつしたような山をイメージしているのでしょうか。緑と違うことに意味がある。うーん。考えてみると5分や10分あっという間に過ぎてしまいますね。

幾重にも意味が込められた装丁画や装丁そのものが持つパワーというのはすごいもので、数百円の文庫本を買ったら自然とついてくる素晴らしい作品です。持っている意味や雰囲気をひょいっとお借りする感覚でプラモデルの背景に忍ばせると写真の意味が増幅されます。

私はついついエッセイや紀行文みたいなものを買いがちなのでそっちの方向の本ばかりが出てきてしまいますが、皆さんが持っている本からぜひその力をお借りして芳醇な1枚を撮影して「お!なるほどね!」とニヤリとしてくれれば幸いです。