

亀仙人がいて、ヨーダがいて、倉田太がいる。世には人を教え導く魅力的なキャラクターが溢れています。
先日、妻氏からこんな依頼がありました。
「ママ友の息子が最近ガンプラを始めた。プラモの話を聞きたいというので会ってやってほしい」
ついにこの時が来たか……!プラモ狂四郎を教え導くマスター倉田となるときが私にもやってきました。なにを話せばいいとかめんどくさいとかそういう返答はありえません。こういうところでこつこつ点数を稼ぐことが部屋にプラモを積むとか溶剤の匂いを漂わせるとか旅行先で模型店に寄るとかそういう事を許容される点数に代わるのですから。

さっそく少年がどのような人かをリサーチ。
最近ガンプラを作りはじめ、この頃スミ入れペンをゲットした。好きなガンダムは00。近くにプラモの話が細かくできる人がいない。なるほど。私が最近めっきりガンプラを作っていないことと、00にあんまり詳しくないことを除けば大きな問題はなさそうです。7割くらいのことには目をつぶっていくこととして、授業内容を考えていきます。

自分がスミ入れを知った時の衝撃はいまでも覚えています。マッキー極細で線を引いて組み立てたガンプラが作品になったような感覚。あの衝撃に近いものをというとやはりつや消しトップコートでしょう。吹いたスプレーが乾燥してつや消しになったプラはとてもかっこよくなった気がしたものです。この驚きをお見舞いしてやりたい。早速積んであるプラモから限りなく00のSDCSの00ダイバーエースをチョイス。
ちょっとだけ足りない色を筆塗りして、ちょっぴりアンテナとかを尖らせて、覚えたてというスミ入れをしたものを作成。トップコート用の素材としましょう。尊敬は集めたいという姑息な気持ちを働かせて電飾を仕込んで目が光るようにしておきます。「目の輝きは七難隠す」と言いますからね。

完成。そんなこんなで当日です。最近ハマってる筆塗りしたやつとか、ちょっと前に作ったガンプラとか机に並べて、さあ少年、いつでも来い。来訪した少年と挨拶を交わして早速プラモ談義です。ほぼ初対面でおっさんと2人きり!がんばれ少年。

並べたプラモをひととおり眺めたあとは、ガンプラを作り始めた話、最近SDCSのマイティフリーダムを買った話、スミ入れするとパーツが細かく見えてかっこいいと思う話、SDガンダムはシールが多くてちょっと嫌だという話、ポケプラクイックは動かなくて遊ぶのに向いてないという話、いろいろな話をしてくれました。どんなプラモを作りたい?と聞いてみると、「綺麗なプラモを作りたいです」とのこと。よし、俺の小汚い筆塗りの完成品はちょっと陰にいてもらえますか。
では綺麗に作るのにおすすめなのはこのつや消しスプレーだ。一緒に外に行ってこの00ダイバーに吹いてみよう。つや消しスプレーはめっちゃ振ってからこうやって吹くんだぞ。家の中で吹くとお母さんに怒られるから気をつけろ。今びしょびしょになってるけど乾くと良い感じになるから部屋に戻ってまた話をして待っていよう。

綺麗に作るには塗装したい、筆塗りでもすごく丁寧に塗れば綺麗に塗れるよおじさんは小汚い筆塗りが好きだけど。学校にはプラモやってる友達が全然いなくてプラモなにそれとか言われる、おじさんの頃は学校のクラブ活動でプラモ部とかあったけど最近はやってる人が少ないんだね。塗料とかは高いから中々買えない、色を混ぜて作るのも楽しいしアクリル絵の具でも塗ることはできるよ……そうやって話をしていると、ほら、乾いてきた。これがつや消しの効果だよ、なんかサラサラしていい感じだろう?

かっこよくなりました……。と見つめる少年に、今日の記念にこの00ダイバーをあげよう。ほら目も光るんだ、とプレゼント。00ダイバーと同じくらい目を輝かせる少年。まだ作ったことがないと言うのでどこの家にも積んであるであろうバンダイさんのエントリーグレードのガンダムとニューガンダムをプラモの本と合わせてさらにプレゼント。
「こんどはおじさんに完成したものを見せてくれ」と約束してお別れ。自分にはプラモをやっている父がいて、兄がいて、先達には困らなかった。少年と比べると恵まれた環境だったのでしょう。子供たちの遊びは多様化し、プラモデルが選択肢の上位ではなくなってきたこの時代、飛び込んできた少年とまた楽しく話すため、プラモで遊ぶ少年の写真を喜びとしつつ、苦手な綺麗めに作るガンプラの練習に励むとしましょう。