タミヤの塗料棚に潜むエヴァ初号機/2色で「味変」する飛行機プラモの遊び方!

 ハセガワの1/72 P-51Dは本当にスコーンと完成するプラモなので(しかもマスタングという戦闘機がとっても好きなので)何度も組んでいる。同じプラモだけど「あ、やっぱり完成した」みたいな気持ちを味わえるのは、昔遊んだTVゲームを遊んで「よし、自分まだ忘れてないな!」みたいな満足感を味わうのに似ている気がする。

 途中まで組んで放置する/全体を組むだけ/塗装までやる、みたいなのはその日の自分のやる気や楽しみたいポイントに応じて勝手に決めるんだけど、今回は塗りたいなという気持ちになった。説明書のとおりに塗ると決めると「説明書のとおりに塗れなかった」みたいな失敗がありそうなので、徹底的に好きな色で好きなように塗らせてもらう。レシピに従わずに作った料理がたまたま美味しくなったときの高揚感と同じく、たまに説明書を無視するとプラモはとたんに軽やかになる気がする。

 模型屋さんの棚を眺めると、タミヤのアクリル塗料が番号順で並んでいる。何が飲みたいか決まっているわけではないけど喉が乾いているときに、自動販売機に並んでいるジュースを片っ端から眺めるように「あ、こんな色あるんだ」という気持ちで左から右に眺めてみると、これがすこぶる楽しい。ちょうどX-15とX-16という連番に目が留まって、「初号機じゃん」と思った。ライトグリーンもパープルもキリッと鮮やかで、他のメーカーの塗料にドンピシャ同じ色があったりするのかなと較べたりすると、案外タミヤのこの組み合わせがいちばんエヴァっぽい。なにより塗料棚で「あ、気づきました?」みたいな風情で二人並んでいるのがよろしい。

 塗りたくてたまらないのはこの2色だから、それ以外のことはあまり考えずにズイズイと組み立てを進める。コクピットを塗らないなんて!と怒られそうだが、1/72の飛行機は組み立てた後からコクピットに筆を突っ込んでグルリと回せばそれなりに色が付く。なにしろ「リアルな模型」じゃなくて「初号機みたいな色の飛行機のカタチ」を見たいのだから、ここだけリアルに塗り分けるとちぐはぐになってしまう。

 えーいと胴体の左右を貼り合わせてしまえば、もう後戻りはできない。退路を立つのは作業を強制的に進める上で、もっとも有効な手段のひとつだ。少々乱暴な考え方だけどね。今回は初号機っぽく、黒い塗料でコクピットの中をグリグリっと塗っておいた。そもそも飛行機のコクピットって地上にいると全然見えないし、飛行機を真上後方から覗き込むことなんてそうそうないし、完成したら目線と同じか少し高いところに置くといいのかもしれない。

 今日の献立を考えてスーパーに行き、目的の食材を探すのと、何にしようか迷いながらスーパーで美味しそうな食材を見つけてその日の献立が決まるのはどちらも楽しく、かなり違う体験だ。プラモはどうも、選ぶところから完成するところまでを一本道で考えがちな遊び。だけど、こうやってノラリクラリと模型屋さんを歩き、美味しそうな色や美味しそうな道具をひょいとつまんで、それを使ってみたいから付き合いの長いプラモで試してみるっていうのも、すごく楽しいと思う。とくに「ナイスな色の組み合わせ」がパッと見つかるなんていうのは、スーパーで食材を選ぶよりも服を探しているときの感覚に近いかもしれないよね。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。