モデルアート最新号を読んで「色褪せた状態」を自分で描ける人になる!

 退色、もしくは褪色。ものの色は時間の経過とともにいろんな要因によってくすんだりしらっぱがれたりする(=劣化する)わけですが、プラモでも褪色を表現するととたんに「リアル」な感じが出ます。いちばん簡単でリアルなのは完成したプラモを10年くらい屋外に放置することでしょうが、定命の者であるわれわれはせっかちなので、筆やらエアブラシやらで「退色して見えるように塗る」という技を編み出しました。これは古代中国でも「なんか古いので価値があるんだろう」とお客さんの目をハックするための技法として使われいたといいます(「古色」というのは古そうに見えるさまであると同時に、古そうに見せる技法を指す言葉としても使われてきました)。

 月刊モデルアート2021年3月号では「退色表現を極める」というタイトルの巻頭特集を掲載。さまざまなマテリアルやツールを駆使して「古びた感じ」を出す方法について紹介しております。

 退色するくらい酷使されている兵器は当然ながらオイルやススといった汚れも付きますので、退色表現とウェザリング(汚し塗装)は常にセットになってきます。誌面でもこれを複合的に扱っているので、分解して捉えるのが少々難しい編集になっている気がしましたが、まずは「エイジング」(サビや剥がれも含めた経年変化の表現全般を指す言葉)と捉えていろいろ真似できる表現を取り入れてから、「退色」「汚れ」「剥がれ」と分解してものを観察し、可能なテクニックから精度を上げるのがいいと思います。

 ひと昔前は十把一絡げに「塗料」と読んでいたものも、いまでは様々な色調、溶剤、濃度に分化させることで用途を明確化し、メーカーがこまかく「これは○○の表現に使えますよ」と明記することでずいぶんと選びやすくなりました。職人的な経験と勘で溶剤の種類を選んでから色を調合して適正な薄さに伸ばし、これを繊細に塗り重ねることで表現していたさまざまなエイジングも、いまなら「オイル汚れを再現するための塗料」とか「○○半島の塗れた土に見える塗料」とか「アメリカ海軍の○○色が退色したときの様子」みたいなものまで選び放題。こうした特集を眺めることで「どれをやってみたいかな」と自分で選ぶことさえできれば、必ず適した用具で似たことができる時代になりました。いやー、便利だね(もちろん、「なんのためにその表現をするか」みたいなことを考え、自分で技法を編みだすのもまた楽しいことではあるのですが)。

 nippper的に気になったのはハセガワ製1/24 R32 GT-Rの作例と、タミヤ、アオシマ、フジミから発売されてきた同モデルの製品をとことん比べるコーナー。漫然と見ているとどこがどう違うのかわかりづらいかもしれませんが、違う会社が同じ大きさで同じ車のプラモを売っているヘンテコさと、同じ車のプラモであるはずなのにどれもちょっとずつ違う不思議さがじんわりと伝わってくるはずです。

 また、模型誌ではおそらく初掲載となる童友社(製造は中国トランペッター社)のバンブルビーの作例も気になるところ。かなりコンパクトなサイズのプラモでありながら密度感のある仕上がりが楽しめます。

 いつもながら具体的な作業の様子が眺められる月刊モデルアート。最新号は読み解くのに少しリテラシーが必要な印象ですが、実際に手を動かし、色々試しているうちに「あ、あそこに書いてあったことはつまりそういうことなのか!」と気づくのも模型誌を読む楽しさのひとつであります。ぜひとも読んでみてくださいまし。ではでは。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。