映画を2本観たら第一次大戦のイギリス歩兵プラモに推しが発生した話

 ガル・ガドットが好きです。さて、年末年始に映画『1917』と『ワンダーウーマン』を観まして、とくに狙っていたわけじゃないですが両方とも第一次世界大戦の話なんでしたね。戦闘機や戦車や軍艦がドカドカやりあっていたんだろうなぁというのがビジュアルとして残っている第二次世界大戦に比べ、第一次世界大戦というのは戦いがイメージしづらいんだよね。しかし、このふたつの映画を見ると「なるほど、塹壕戦ってこんな感じだったのかよ」ということが見た目でなんとなく把握できる。

 一次大戦では人間が平面を歩いていくと敵に撃たれてしまうので、地面にとんでもない長さのミゾ(塹壕)を掘って相手から撃たれないようにしていたんですね。で、ドイツ軍とイギリス軍は塹壕を伸ばしまくって相手に背中を取られないようにしながら大量の兵士をミゾの中で暮らさせたり進軍させたりしながら、タイミングを見計らってはほんのちょっとした空白地帯の陣取り合戦みたいなのをしていたというのが映画でも描かれています。すごい。

 で、タミヤの1/35MMシリーズでは唯一の一次大戦フィギュア、「イギリス陸軍歩兵セット」をなんとなく買ってあった(しかし、「正直地味だな〜」と思っていたので作らずに寝かせておいた)ことを思い出して箱を開けるわけです。こういう「映画とかを見てパッションが爆発したときのための備蓄」というのは最高ですね。昔の自分を褒めてあげたくなる。

 雨水とか汚水とかが溜まりがちなジメジメした塹壕で、ゲートルを巻いた歩兵たちがいつ始まるともわからない攻撃に備えてタバコ吸いながら待機しておるわけです。何日も、何週間も。そんでもって、人間とか飛行機(まだ開発されたばかり)の偵察情報をもとに「今だ!行け!」と塹壕から飛び出て進撃していくわけであります。ワンダーウーマンは手首がめっちゃ固いので無敵ですが、人間は塹壕から飛び出た瞬間に相手の大砲とか機関銃の弾で死にまくります。危険だ。

 で、突撃命令が出ても死にたくないので塹壕から出ないやつとか、塹壕から出ていってもへっぴり腰で全然走ろうとしないやつが発生しますが、そういうのを後ろから脅しまくるのがヘルメットではなく帽子をかぶっている(つまり塹壕から出ないで命令する)士官であります。リボルバーの拳銃を持って「お前ら!突撃じゃ!!ボサッとすんな!」と言う係。そう、この人は敵に向かって鉄砲を構えているのではなく、自軍の兵士を撃つポーズをしているわけです。もはやパワハラのエクストリーム版みたいなもんですが、人間の命どころか国家の存亡がかかっているのですから必死です。

 この士官、右手に拳銃、左手に指示棒みたいなのを持っている姿がめちゃくちゃ最高すぎて完全に「推し」になってしまいました。ほかに小銃手が3人、機銃手が1人付いているんですが、走っている兵士以外はどちらかというと静的なポーズなので、『1917』とか『ワンダーウーマン』で観た塹壕戦の雰囲気とはちょっと違う。「そうそう、これこれこれ!」というのが走りまくってる歩兵じゃなくて、髭はやしてむちゃくちゃ大声で怒鳴ってるアニキというのがちょっとおもしろくて、この人だけを組んで机のうえにちょこんと置いてあります。超いい。彫刻もいいしポーズもいいしなんかすごいオーラを放っていて推せる。推しですねこれは。一次大戦ハコ推しじゃなくて、私はこの士官がむっちゃ気に入りました。

 もうひとつ「塹壕!塹壕萌え〜〜!」というポイントがこの箱のベロに付いている道標や注意書き。あまりにも複雑に伸びまくる塹壕の中ではどっちが司令部とかどっちが前線とか標識がないと迷子になるし、あと「立つと死にます」「昼間は外に出ると死にます」とか「ヘルメットを拾ったらリサイクルしよう」みたいな標語も看板になっていて迫力があります。怖すぎる。

 あとすごくいいなと思ったのは『1917』でめっちゃ活躍する水筒のパーツがくっついてるところ。知識やイメージがないと「ああ、水筒ですね」でしかなかっただろうパーツが「あの水筒が!小さくなってる(嬉)」という状態になるのがこういう出会いのイイところであります。プラモ見てプラモいいなあというのも最高ですが、映画を観ていると「うわー、あのプラモってこういう意味だったのか!」という気付きがあって楽しいな、とひさびさに思いましたので、みなさんも『1917』と『ワンダーウーマン』を観るといいです。歩兵以外にも「マジかよ〜〜!」みたいな、プラモでしか知らなかった兵器の描写がいっぱいあるので、すげー即効性がありますよ。そんじゃまた。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。