ああ、癒しのプラモ。機械仕掛けのこぶたが心の空を駆ける。

 癒やされたい。さっきまで友達の家でスーパーボンバーマン3をやってから皆で外に出てミニ四駆をガシャガシャ側溝で走らせてレースしてたら日が暮れてきたんで家に帰ってきて夕飯の支度を待ちながら黄金勇者ゴルドランをボケーッと畳に寝転がりながら見ていたと思っていたのですが、ふと気づいたら深夜23時になるというのに独り会社のデスクで栄養ドリンク片手に無限にあるCAD図のレイヤーとにらめっこしながら気分を紛らす為にitunesで堀江由衣の『Happy happy * rice shower』を爆音で半笑いで聴いている32歳の男になっていたんですよ。

 これは夢か?いや、逃げちゃだめだ。大人だから。私には守るべきものがある。それにしても。ああ、癒やされたい。こう、ちっちゃくてヨチヨチした子犬とか子猫とか飼ってみようかな。でもあんまり家に居ないし世話とかロクにできないよな。やっぱりプラモだよな。都合の良い時に、都合よく癒やしてくれるプラモが私には必要だ。週末はサクッと組めて、童心に帰って、少動物みたいなプラモを……あ!コレだあああああ…!!

▲ブヒヒ、ブヒブヒブヒブヒ、ブブヒ、ブヒヒ!!(タミヤ ロボクラフトシリーズ No.11 メカ ピッグです!!)

 タミヤにはこんなラインナップもあったんかい。他にもいろんな動物がいて、かぁいいよう……おっ持ち帰りぃ~!! ホントは犬型が良かったんですが、メカドッグだけ何故か見た目があまりにも完全にメカニカルなので、ブタちゃんをチョイスしましたよ。

 どうやら組み立て式メカ・ピッグが首をふりふりちょこまか歩く!らしいです。なんと解りやすいパッケージなのだろう。対象年齢10歳以上とのこと。上限は書いてないので32歳でも遊んで合法。笑うな。笑うな。

▲はあああ。癒しのクリアーショッキングピンク……無味乾燥でモノクロな日常にピンク色の光が差し込む。荒んだ心には彩(いろ)が必要なんです。
▲スイッチ、ギヤボックス、キャップ類は私の心を乱さないクリアと白。いいね。
▲付属のモーター、ドライバ、グリス、シャフト、ギヤ……さっきまで遊んでいたミニ四駆じゃあないの。童心に帰る。今すぐ帰ろう。
▲金と銅の端子をはめればスイッチボックスが出来るんだよ。
▲シャフトにグリスべたべた。ギヤをガシャッっと噛み合わせればギヤボックスです。
▲うわあああああ!すべてのパーツがピンクのシャーシに!メカニカル合体だ!
▲足が生えたら急に超生命体感が。今世の中に生まれたままのこのPOWER。
▲頭をつけて、くるんと輪を描くしっぽをつけて、いよいよ完成です。

 機能として微塵も寄与しない頭としっぽのパーツが一番「ブタ」であるために重要というのがね、ちょっとおもしろいね。

▲出来たぜ!!俺のメカニカルピッグ!!機械仕掛けの子豚【デウス・エクス・パルウス・ポルコ】がよぉぉお!!

 「あっ」と言う間のおもしろ体験でした。写真を撮りながら、エルメート・パスコアルの名盤『スレイブス・マス』(ブタを楽器として取り扱っている)を聴きながら、完成まで正味1時間半。脳内麻薬ドパドパミンミン出まくりの、とんでぶーりん。

 ところがどっこいこれで終わりじゃないんだな。単4電池を装填。子豚のハートに火を点けろ。Come on baby, light my PORK。スイッチONまで3秒前!3……2……1……ファイェァ……

▲爆走します。

 はあああああ!トコトコトントン走ってかわいいなおい!癒やしそのものだ。感無量。とまるんじゃねぇぞ……無機物で構成されたガチャガチャ動くだけのピンク色の物体が、どうしてこうも心にやすらぎを与えてくれるのかな、かな?人間の心は本当に不思議なものです。

▲しかもオマケでバンパーとローラー付属なんで、ミニ四駆のコースで走らせることが可能なんすよ!!マジか。

 無心で組めて、無心で遊ぶことのできるメカニカルピッグ。良い子のみんな、悪い子のみんなにはモチロン、せいいっぱい生きている大人にも是非とも組んでもらいたい。この世界の根本は簡単な仕組みで出来ているんだよ、シンプルに考えようぜ、そして駆け抜けようぜ、というのを改めて教えてくれるようなプロダクトだと勝手に感じ号泣しております。

 ……プラモデル。その小さな世界に没頭することで一切のしがらみから開放され、完成品と、それに勝る充足感をも手に入れることが出来る。という点で、プラモデルは充分に”実用的”な製品でありましょう。ああ、癒やしのプラモデル。

ハイパーアジア
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。