
奥の金閣寺は1/200スケール、手前の自撮り女子二人は1/24スケールです。縮尺で言えば8倍以上の差があるのですが、遠近感を考えて写真を撮ると(そして1枚の写真に両方を収めようとすると)こんな感じにならざるを得ないわけですね。
さてこの写真、スケールが違うのがモロバレになってしまうポイントが一つあります。金閣の土台の断面が丸見えで、女子二人が立っているであろう平面と地続きのところにどーんと置いてあるので「小さい金閣が後ろにおいてありますね」という感じがします。
そこで、「女子と金閣のレイヤーを分ける」というのが可能なのかどうなのかを探るため、私はタムタム(模型店)の鉄道模型コーナーへと向かったのでした……。

鉄道模型のジオラマ(「レイアウト」と呼ばれることが多いです)に欠かせないのが「木」。針葉樹、広葉樹、背の高いのから低いの、さらには自分で枝と葉っぱをそれぞれ買って組み合わせるなど選択肢は無限大。今回は背の低くて密度のあるものが欲しかったので、現物をじっくり吟味してからウッドランドシーニクスの「38 DECIDUOUS TREES(38本入落葉樹)」というのを買ってきました。完成済み&立てるための土台付きで、微妙に色合いの違う3種の緑が嬉しい奴です。


金閣寺の手前に植え込みが出現し、女子のレイヤーと金閣寺のレイヤーが分かれました。両者のスケールを直接比較するヒントがなくなったことによって、1枚の写真としてまとまりがよくなったぞ……。ちなみに木は枝のところで剪定して2~3cm大のカタマリにしてからぽんぽんぽんと置いただけなのであとからレイアウトをいくらでも変えられます。

クルマの手前に植え込みがある風景。緑があることでクルマのオレンジが引き立つと同時に、クルマのディテールや塗装に謎の解像感が与えられています。やってみないとわからんこともある。これに空を印刷した背景紙でも足せばレイヤーが3枚になってより奥行きが出ますね……こんどやろう……。
野原にデーンと立っているガンダムも、手前に木があると途端にドラマチックになります。このレイヤーが2枚あると実在感が出たり奥行き感が強調されたりするのは特撮映画やアニメでもよく使われる手法でございますね。とくに特撮の現場では手前にフレーム・インさせてわざとスケール感を強調するための素材のことを「なめもの」と呼んだりするそうです。

上の写真も手前は1/48の兵士で、奥が1/144のガンダムですが、木があることによって(レイヤーを分けることで)おままごと感が減ってなんかものすごいスケール感が出ました。木、距離によって大きさをどうとでも捉えることができる造形なので便利……。みんなも軽率に木を買って、模型の大きさをビシバシ演出していきましょう。サイド7からは以上です。