親の顔より見たタミヤ1/35MMシリーズ(戦車とか装甲車両とか、とにかく地べたを這いつくばるメカがいっぱいプラモになっています)のラインナップですが、これが1/48スケールのMMシリーズとなると「なんかちょっと小さいし……1/35MMの縮小版みたいなもんでしょ。やっぱ1/35が元祖であり本家だわ」みたいな気持ちでその顔ぶれをしっかり見ていなかった自分がいます。しかしこうして毎日プラモと向き合っていると「手頃な価格と適度なパーツ数、そんでもって完成品もちんまりしていてKAWAII」ということがわかってきたため、おのずと棚を見る目も当社比で3倍くらい鋭くなってまいりました。
そんな折、「え、おまえ1/35のシリーズで見たことないけど!?」という車両が1/48MMコーナーにちょこんと佇んでいるのに気が付きます。それが上に示したBA-64Bという得体のしれない車両。ランナーがぺろんと1枚入っていて、これがどんなことになるのか皆目検討もつきません。「無知はラッキー」というのもプラモの楽しいところ。
タミヤからは1/48スケールでしか模型化されていないこの装甲車、車両のボリュームに対して人間が異常にでかい。というか車両がものすごくコンパクトでビビります。それもそのはず、これはGAZ-67というソ連のジープみたいな四輪駆動車の足回りにポーンと装甲ボディを載っけたことで生まれるピコ太郎もびっくりの簡単合体メカらしい。そんな単純なことがあるのかよ……と思うのですが、案の定初期型(BA-64、GAZ-64というもっと小さいシャーシに装甲ボディを載っけていた)はちょっとでも不整地に入るとゴロンゴロン転がってしょうがなかった、と書いてあります。かわいい。というかちょっと考えてから設計すべき。
組み立て始めると「これはマジでジープに鉄板くっつけただけだな!」ということが直感的に理解できる構造になっています。ラダーフレームに板バネ式のサスペンション、プロペラシャフトに牽引フック〜というのは安価で大量に作られた軍用車両を組むと毎回シンプルで感心する構造。パーツ数はマジで少なく抑えられているのでホイホイホイーと形になる。
とりあえずこれくらい組んだところで「うーむ」と考えます。Wikipediaパイセンによれば「戦後もいろんなところで使われたよ。東ドイツの警察とか」と書いてあるので、緑一色(役満)に塗らなくてもいいなこれは。好きな色で塗るべし。そもそも説明書の塗装図だって「所属不明車輌」って書いてあるし、もうなんもわからん。いいですねこういう探検的なプラモ。
GSIクレオスのMr.カラー8番には魔力がありますね(あとマッキーペイントマーカーの金)。なんでも金属になっちゃう。そして金色の人間はゾイド味が出るので好きです。ディテールよく見えるし。
考えてみれば戦車も装甲車もよくわかんないトラックも、模型店の棚をなんどもなんども眺めて「へー、これはこういう名前なのか」と覚えたようなもん。そして気になったやつを作って構造を知り、説明書を読んでトホホなエピソードやイケてる戦果を知り、ライバルはどいつだ!とまた模型屋さんの棚を眺めに行く……。プラモって、どこまで歩いていっても終わらない感じがするのが素敵です。
ちっさ可愛いソ連のミニミニ装甲車、どんな色でもそのカタチで癒やしてくれる楽しいプラモですので、組んでちょこんと置いてその佇まいを味わってください。みなさんも、ぜひ。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。