表紙をめくった瞬間からこのインパクト。『月刊モデルグラフィックス』最新号の巻頭特集は『まるごと、1/144 RX-78-2 ガンダム』と題してあの300円ガンダムから最新のEGガンダムまで、40年のガンプラ史をひとつのスケール、ひとつのモチーフで眺める入魂の内容となっています!
それぞれのキットの良さ、特色を引き出した作例はもちろん、デザインや機構を変えて何度も発売されてきた1/144 RX-78の変遷をじっくりと比較検討するコーナーは必読。さらにエポックなイラストや立体物がプラモデルと互いに影響を与え合いながら変化と進化のスパイラルを描いてきたさまを見て取ることのできる濃厚なコラムも満載です。
人間の脳はけっこう都合の良いもので、「あれ好きだったんだよな〜」とか「これはここが変だから苦手なんだよな〜」みたいなイメージを持っていても、バシッと同じアングル、同じトーンで作られたガンダムたちを眺めていると「いや、これも案外捨てたもんじゃないぞ」とか「思ったより古臭いラインだったんだな……」なんてことを客観的に感じられるようになります。
やれ可動だ、やれ色分けだ、やれギミックだ……と画一的な評価基準で語られがちなガンプラですが、冷静になって「カタチはどうなっているのか」「それぞれのプラモには何が盛り込まれ、何が省かれたのか」「そしてこれらはなぜそうなったのか」というのをしっかり語る上で、必携のリファレンスとなりますよ!
特集以外の作例では、どろぼうひげ氏による「エクシードモデル ザクヘッド」(これはカプセルトイですが……)を改造したモノアイが発光して動くシャアザクの頭がおもしろい、というか見てみたい!
個人的にカンドーしたのは2004年に嶋村豊輝氏の作例として発表されたマスターグレードのリック・ディアスをオマージュしたHGUC(リニューアルされたほう)のリック・ディアス改造作例!(わかりづれー!!)
「そうそうそう、これこれこれ」と言いながら眺めてしまいますし、ガンプラのウェザリング(汚し塗装)の歴史を語る上でけっこう重要なマイルストーンを読み解く的な意味もあると思うので、ぜひともその目で確認してください!
スケールモデルでは開いてびっくり、アーマーモデリング12月号の巻頭特集と連動したMENGモデルの1/9 カワサキ Ninja H2の作例が印象に残りました。やや落ち着いたツヤに見える塗装が渋く、キットに対する正直な印象がこうしてきちんと書かれているのも参考になるだね〜〜。
さらにぶったまげたのはソード社1/72のTBM-3WとTBM-3S2を艦これ文脈で塗装した作例。索敵と攻撃をコンビで行う「ハンター&キラー」を日本海軍機カラーで塗っていますが、これはいったいどういうことなの……という人、そしてそんな飛行機知らないんじゃが……という人はぜひとも本誌をじっくり読んでくださいまし。
このほかにも作例や連載がドたっぷりなモデルグラフィックス最新号。ひさびさに「あれ、めくってもめくっても巻末が近づいてこないな!」という感覚を味わうほど、驚くべき量の文字と写真の洪水となっておりますので、いますぐ買って週末にでもゆーっくりと読んでください。ではでは!
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。