転輪を整えて。/タミヤ 1/35 T-55

 コンビニとかの接客のバイトをしていると「フェイスアップ」という作業を教わる。ラベルの向きを正面に揃えることで、当時のバイト先ではよくやった。前職でも数年は店頭にいたのでフェイスアップは自分もしていたし、それを周りのスタッフに教えた。

 そのせいか、初めて戦車を作るときに転輪の向きを整えた。無意識で整えたのだけど、それから戦車を作るときは転輪を整えようとする。完成までの途中で手が触れてしまい向きがバラバラになると少し寂しい。

 「転輪を整えましょう」と私に教えてくれたものはなかった。でも、今もたまに転輪の向きについて考えるし、新しいキットの完成見本の転輪や雑誌の作例の転輪や、とにかく転輪について考えているときは誰かが作った戦車の転輪をよく見る。

 説明書を見てみると、ひとつの転輪をコピーして並べられたであろう転輪の向きは当然整っている。なので転輪を整えることは正しいような気もする。転輪が整っていることがOKとされるパターンを考えると、「刺身」と呼ばれる無塗装仕上げのものだとか、どこかに展示されているようなものだろうか。汚れていない綺麗な戦車の模型を作る場合は、転輪が整っているほうが美しさが際立つだろう。戦車で綺麗なものを作る場合が今の自分にはあまり思い浮かばないが、何かそういう美しい模様が配された戦車を作る日は転輪を整えることに今以上に躍起になると思う。

 とはいえ、転輪を整えるかどうかは、結局のところどっちでもいい話だと思う。ただ、いつも思うのは「整えようと思う心があるかどうか」だということ。結局、整えたほうがいいときに整えられず、反対にバラバラにしたほうがいいときに整えてしまう、ということがあってはいけないということだ。

 戦車は、使い込まれていて汚れていて、歴戦の風格が漂うものがいい気もするので、このT-55はまもなく初めての戦車塗装に突入するわけだが、アイロンをかけたシャツが気持ちよく感じ、頭のてっぺんからつま先まで気持ちの良いピシッとした規律正しい美しさを味わいたいときには転輪の向きを整えると、きっと楽しい。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。